マイホームの工事が始まると、少しずつ家の形が見えてきてワクワクするものです。しかし同時に、「きちんと仕上がるだろうか」「ちゃんと希望どおりになっているのかな」と不安に思うこともあるかと思います。家づくりは、施工会社に任せておけば完成するものではありますが、施主様が積極的に関わることでより満足度の高い住まいになるのも事実です。そこで今回は、注文住宅の建築中に施主様がやっておきたい5つのことを、わかりやすくお伝えしていきます。
1.定期的に現場を見に行く
※AIで生成した画像です
建築が始まったら、できる限り現場を訪れるようにしましょう。週に一度のペースで見ていきたいところですが、近所でない限り難しいところです。少なくとも「基礎工事の完了時」「上棟後」「内装工事前」の3回は確認しておくと安心です。現場を見に行く目的は「監視」ではなく、「理解」です。図面では見えない部分がどのように作られているのかを自分の目で確認しておくことが大切です。断熱材や防水シート、電気配線、給排水管などは壁や床の下に隠れてしまうため、完成してからでは見られません。また、現場の写真を撮っておくと、将来的なリフォームやメンテナンスのときに非常に役立ちます。どこにどんな配線や配管が通っているかを記録しておけば、工事業者に正確に説明することができます。
1-1.チェックポイント
確認するときは、次のような点を意識しておくとよいでしょう。
- 図面通りに窓やスイッチが配置されているか
- 契約した建材や設備が使われているか
- 壁や柱などにキズや欠けがないか
1-2.見学のマナー
自分の家になるのだからといって、工事中の現場に自由に出入りしてはいけません。離れたところから見る程度なら大丈夫ですが、安全面から必ず次のマナーを守るようにしましょう。
- 必ず現場監督に一声かけて一緒に入る
- 質問や変更したい箇所などがあった場合は、大工や職人ではなく必ず現場監督人に伝える
- 大工や職人とは長話にならないよう気を付ける
- 動きやすい服装や靴で行く
現場は危険が伴います。ビス、電動機械や大きな木材など危険なものがありますし、重機なども出入りします。見学の際は、必ず現場監督に一声かけてから入りましょう。安全面を考慮して、現場監督からヘルメット着用などお願いがあると思いますので、必ず従うようにしてください。また、大工さんの仕事の邪魔にならないよう、施主様側も配慮する必要があります。大工さんと長話をしてしまうと、チームで動いている作業に支障がでる恐れがあります。時間帯は午後3時くらいがベターだと言われています。お昼時は大工さんの充電タイム。お食事や休息をとる時間帯なので避けましょう。
2.仕様や変更内容をしっかり確認する

注文住宅では、打ち合わせの内容が多岐にわたります。外壁や床の色、建具のデザイン、照明やスイッチの位置など、細かい部分ほど実際に現場を見てみないとイメージがつかみにくいものです。工事が始まると、変更したい箇所が出てくる可能性があります。そのため、その時点で変更が可能なのか、更に別途で追加料金が発生するか、工期は間に合うかといった問題がでてきます。施主様は現場監督に伝えたことをメモに控えておきましょう。口頭だけで伝えるのは避け、必ず書面で記録を残すことが大切です。後のトラブルを防ぐためにも、図面や仕様書を最新の状態に更新してもらいましょう。
特に次のようなポイントは間違いが起こりやすいため注意が必要です。
- スイッチ・コンセントの位置と数
- 窓の種類やサイズ
- 床や壁紙の色・素材
- キッチン・洗面・浴室の仕様
気になることがあれば、遠慮せずその都度現場監督や設計担当に確認をしましょう。小さな疑問も早めに解消することが、完成後の満足度につながります。
3.工事の進行と支払いのタイミングを把握する
建築が進むにつれて、工事のスケジュールや支払いも段階的に発生します。現場を任せきりにせず、どの工程がいつ終わるのか、次にどんな作業が行われるのかを自分でも把握しておくことが大切です。
建築スケジュール
建築スケジュールを確認することで、工期の遅れや資材の遅延にも早く気づけます。万が一のトラブルが発生した場合も、早い段階で対応できれば影響を最小限に抑えられます。
支払いスケジュール
また、支払いに関しても注意が必要です。通常は「契約時」「上棟時」「中間」「引き渡し時」など数回に分けて支払います。追加工事が発生する場合は、理由・金額・支払い時期を明確にしておきましょう。記録はすべて書面またはメールで残し、口頭でのやりとりだけに頼らないことが基本です。これらを事前にしておくだけで、後のトラブルを大きく減らすことができます。
4.ご近所への配慮を忘れない

家づくりは自分たちの生活のために行うものですが、工事現場は近隣の方々にも影響を与えます。トラックの出入りや資材の搬入音など、知らないうちに迷惑をかけてしまうこともあります。
着工前や上棟前など、工事が始まるタイミングで近隣へのあいさつをしておくのがおすすめです。「〇日から工事が始まります」「しばらくご迷惑をおかけします」と一言伝えるだけでも印象は大きく変わります。
また、工事中も次の点を意識しておきましょう。
- 車両の駐車位置が迷惑になっていないか
- 資材や廃材が道路にはみ出していないか
- 騒音やほこりの対策が取られているか
- 道路が泥等で汚れていないか
現場で気づいたことは、監督や営業担当に伝えればすぐに対応してもらえます。ご近所への気配りは、完成後の生活をスムーズにスタートさせるうえでも重要です。詳しくは関連記事「最初が肝心!注文住宅の近隣挨拶マナー」も併せてご覧いただけますと幸いです。
5.引き渡し前の最終チェックをしっかり行う

建築が完了すると、いよいよ「竣工検査(最終チェック)」の段階に入ります。ここでは、図面通りに仕上がっているか、不具合がないかを自分の目で確認します。この検査は、引き渡しの1週間ほど前に行うのが一般的です。時間に余裕を持って実施すれば、もし修正が必要な箇所が見つかっても対応してもらうことができます。
確認の際には、次のものを持っていくと便利です。
- 図面・仕様書
- メジャー・懐中電灯
- マスキングテープ(気になる箇所に印をつける)
- スマートフォン(写真記録用)
チェックすべき主なポイントは以下のとおりです。
- 壁や床、天井に傷や汚れがないか
- ドアや窓の開閉がスムーズか
- 水まわりで水漏れや詰まりがないか
- 照明や換気扇などの電気設備が正しく動くか
小さな違和感も放置せず、その場で現場監督に伝えることが大切です。「後で直します」と言われた場合も、修正箇所と期限をメモしておくと安心です。
まとめ
家づくりの主役は、間違いなく施主様自身です。建築中に現場へ足を運び、仕様を確認し、スケジュールを把握することは、より良い家を完成させるための大切なプロセスです。「施工会社にすべて任せる」よりも、「一緒に家をつくっていく」気持ちで臨む姿勢が、完成したときの満足感や愛着を大きくしてくれます。工事中の小さな確認や行動の積み重ねが、将来の安心と快適な暮らしにつながります。これから家づくりを進める方は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。


