注文住宅をいざ建てる際に忘れないでいてほしいこと、それは「ご近隣挨拶」です。もちろん通常工事を始める際には、ハウスメーカーや工務店はご近隣への挨拶をするのが常です。しかし、実はご施主様もご近隣の方々へ挨拶をすることが一般的とされています。工事が始まれば騒音や車両の出入りで迷惑をかけますし、完成後は新しいご近所づきあいが始まります。この記事では、近隣挨拶をどのタイミングですると良いか、伝える内容や粗品などをお伝えしていきます。
1. ご近隣挨拶のタイミング
家を建てる際のご近隣へのご挨拶は、工事前・工事後・引越し後の3回が理想です。「必ずやらなければならない」ということではありませんが、今後の円滑な地域とのつながりを大切にするならご近隣挨拶はしておくのベターです。基本的にご近所挨拶はご施主様が行います。
1-1.工事前
まず一番大切なのは工事前の挨拶です。特に注文住宅となると場所にもよりますが大型の車両が通ることになり、ご近隣の方々へ少なからずご不便をかけることになります。そのため工期や作業時間帯を伝えておけば安心してもらえますし、トラブル防止にもつながります。工事前の挨拶は、地鎮祭の日に施主が挨拶するのが一般的で、その際にご家族でまわると良い印象を与えるでしょう。
1-2.工事後
無事に工事が終わったあとは「ご迷惑をおかけしました」とお礼を兼ねて挨拶すると更に印象が良くなります。
1-3.引越し後
外構工事のタイミングにもよりますが、引越し後は生活やゴミ出しのルール、町内会など地域のコミュニティに関わることも増えるため、あらためて「これからお世話になります」と伝えるのが望ましいでしょう。
一般的には最低限、工事前と工事後の2回で十分ですが、可能であれば引越し後も加えて3回挨拶を行うと安心です。
2. 挨拶の範囲は?
近隣挨拶の基本は、両隣と向かい、裏手にあたる「三軒両隣」です。ただ、注文住宅の工事は大型車両が通るため、角を曲がったお宅や道路を挟んだ反対側のお宅まで影響することがあります。都市部では必要最小限で済ませることが多いですが、地方では町内会単位での挨拶が一般的なこともあり、地域性を考慮して調整しましょう。また、お隣がマンションやアパートの場合は管理組合や大家さんへご挨拶されると良いでしょう。
3. 挨拶に何を持ってく?
粗品は施工会社が配る場合もありますので確認してみましょう。ご自身でご用意する場合粗品は高価である必要はなく、日常的に使えるものが喜ばれます。工事前はタオルや洗剤、キッチンペーパーなどの消耗品が定番です。工事後や引越し後には、お菓子やコーヒー、調味料などを選ぶとよいでしょう。価格は500円から1,000円程度で十分です。包装は簡素で構いませんが、ご挨拶の熨斗(のし)をかけて名前を入れておくのが理想です。簡単な挨拶状を添えると丁寧な印象になります。
4. 挨拶のポイントは?
工事前は「このたび〇丁目で家を建てることになりました〇〇です。工事中は騒音や車両の出入りなどでご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、よろしくお願いいたします」と伝えれば十分です。工事後には「工事中は何かとご迷惑をおかけしましたが、おかげさまで無事に完成いたしました」とお礼を添え、引越し後には「これからお世話になりますので、どうぞよろしくお願いいたします」と伝えましょう。形式ばらず、相手に自分の名前と顔を知ってもらうことが大切です。
5. 地域による違い
地域によって挨拶の習慣には違いがあります。都市部では最小限の範囲で済ませ、簡単に済ませることが多い一方で、地方では「きちんと挨拶をしないとその後の関係に響く」と言われることもあります。新興住宅地では同世代が多く、引越し後の挨拶が重視される傾向があります。近隣挨拶をしなかったために「工事がうるさい」と苦情が出たり、工事車両で通行の妨げになってトラブルになったりする例があります。とくに地方では「挨拶がなかった」と悪い印象を持たれることも少なくありません。工務店や職人の対応が丁寧でも、施主が直接挨拶をしていないと印象が悪くなることがあるため注意が必要です。トラブルを避けるために、どの地域でも共通しているのは「顔を出して一言伝えること」が何よりも大切という点です。
6. 工務店やハウスメーカーに任せる時は?
最近は工務店やハウスメーカーが工事前の近隣挨拶を代行してくれることもあります。しかし、これに頼りきりだと「施主の顔が見えない」と受け取られることがあります。理想は、工務店が先に説明を行い、そのあとで施主が自ら足を運んで挨拶する形です。短時間でも顔を見せて言葉を交わすだけで印象は大きく変わります。
まとめ
注文住宅の近隣挨拶は、これから新居に向けて円滑に地域のコミュニティにとけこむための第一歩です。日本人ならではの「ご挨拶」の習慣が実は今でもとても大切にされています。少しおっくうに感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、この手間を惜しまないだけで今後の生活がより良いものに変化します。無事に新居に越したのち、これからの新生活を更に豊かなものにするため「顔を合わせて伝えること」が何よりもご近所づきあいの第一歩になるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければ関連記事「注文住宅の地鎮祭は必要?今どきの事情を解説!」も併せてお読みいただけますと幸いです。