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火に弱いは誤解!木造住宅の意外な耐火性

注文住宅を検討している方の多くが気にされるのが「火災への強さ」です。特に、木造住宅は「燃えやすいから火事に弱い」、鉄骨住宅は「鉄だから燃えないから安心」といったイメージを持たれることが少なくありません。しかし実際には、木造住宅=火災に弱い、鉄骨住宅=火災に強いという考え方は誤解を含んでいます。構造ごとの特性や燃え方、耐火性能は大きく異なり、必ずしも「鉄骨>木造」とは言えないのです。この記事では木造軸組工法を採用している視点から、木造住宅と鉄骨住宅の耐火性と、注文住宅を建てる際に知っておいてほしいことをお伝えしていきます。

1.木造住宅は本当に火災に弱い?

火に弱いは誤解!木造住宅の意外な耐火性

1-1.木材の「炭化層」が火災から守る

木材は燃え始めると表面が炭化し、その炭化層が内部への熱の進行を食い止めます。たとえば厚みのある柱や梁は、表面が黒く炭になっても中心部はしっかりと強度を維持するのです。この性質は「木材の自己防火性」と呼ばれ、火災時に建物が一定時間持ちこたえる大きな理由となっています。

1-2建築基準法で求められる耐火性能

現在の木造注文住宅は、建築基準法で定められた耐火性能を満たす設計が求められます。防火構造の外壁材や石膏ボードの内壁材などを組み合わせることで、火の進行を遅らせる仕組みが整っています。そのため、木造住宅でも「火事に弱い」という一方的な評価は正しくありません。

2.鉄骨住宅の耐火性の特徴

火に弱いは誤解!木造住宅の意外な耐火性

2-1.鉄は燃えないが「熱に弱い」

鉄骨は確かに燃えることはありません。しかし、約500℃を超える高温になると急激に強度を失い、変形や倒壊のリスクが高まります。実際に火災時の鉄骨造は、表面は燃えていなくても内部の温度上昇によって構造全体が持ちこたえられなくなることがあります。

2-2.耐火被覆の必要性

鉄骨住宅では、鉄骨を火災から守るために「耐火被覆材」を施すことが一般的です。コンクリートや耐火被覆板で覆うことで、一定時間の耐火性を確保します。鉄骨住宅もそのままでは決して「火に強い」とは言えず、適切な処理が不可欠なのです。

3.木造軸組工法の強み

火に弱いは誤解!木造住宅の意外な耐火性

3-1.日本の気候・文化に合った工法

木造軸組工法は、日本の風土に適応して発展してきた伝統的な工法です。柱と梁を組み合わせる構造は耐震性に優れ、また厚みのある木材を使うことで耐火性能も確保しやすい仕組みになっています。

3-2.リフォームや増改築への柔軟性

軸組工法は間取りの変更がしやすく、将来のライフスタイルに合わせたリフォームも柔軟に行えます。これは耐火性能に直接関わる点ではありませんが、「長く住み続ける家」という視点で見たときに大きな安心材料になります。

4.木造住宅と鉄骨住宅の耐火性を比較

火に弱いは誤解!木造住宅の意外な耐火性

木造住宅(軸組工法)

・表面が炭化して内部を守る自己防火性

・厚みのある柱や梁が耐火性能を発揮

・建築基準法に基づく防火構造の採用でさらに強化

鉄骨住宅

・燃えないが高温で強度を失う

・耐火被覆材を施すことで耐火性能を確保

・適切なメンテナンスが必要

結論として「どちらが必ず火に強い」と断定できるものではなく、それぞれに異なる特性と工夫が必要です。

5.注文住宅で火災に強い家を建てるためのポイント

  1. 構造だけで判断しない 木造か鉄骨かという二択でなく、総合的な耐火設計を確認しましょう。
  2. 外壁・内装材の耐火性能をチェック サイディングや石膏ボードなど、防火認定を受けた材料を使うことで火に強い家が実現できます。
  3. 住宅設備や安全対策も重要 火災報知器、スプリンクラー、キッチン回りの安全設備なども耐火性に直結します。
  4. 地域の防火規制を確認 防火地域・準防火地域では建築基準法で厳しい制限が設けられているため、構造や仕上げ材の選び方が変わります。

まとめ

木造住宅=火災に弱い、鉄骨住宅=火災に強いという単純なイメージは誤解です。木造軸組工法は炭化層による自己防火性を備え、鉄骨住宅は燃えないものの高温で強度を失いやすいというリスクがあります。どちらの構造も、建築基準法や最新技術により十分な耐火性能を確保できます。注文住宅を建てる際には、構造のイメージだけにとらわれず、「木造住宅と鉄骨住宅、それぞれの特性を理解したうえで、自分たちの暮らし方に合った工法を選ぶ」ことが大切です。安心で快適な家づくりのために、正しい知識をもとに、最適な注文住宅を選びましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければ関連記事「住宅ローンと火災保険の完全ガイド:あなたの家の保障は大丈夫?」も併せてお読みいただけますと幸いです。

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