注文住宅に限らず、新築を建てる際やは補助金を利用したいと考えている方が殆どでしょう。補助金を受けるには、「住宅性能表示制度」によって、その家が「高性能」な住宅であるか認定を受けなければなりません。住宅の性能の基準を表す「住宅性能表示制度」はどういったものなのか、どう評価されるのか、また家の性能を高めることでどんな利点があるのかをここでは詳しく説明していきます。
1.住宅性能表示制度とは
住宅性能表示制度とは、住宅の性能を評価して等級や数値で表示する制度です。住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づいており、国土交通大臣が登録した第三者機関によって客観的に評価されます。この基準に則って「住宅性能表示制度」による第三者機関にて評価の結果、交付される評価書が住宅性能評価書です。
2.確かな性能・安心の住まいづくりを目指すために
例えば家づくりでこんな心配はありませんか?
・地震が怖いので耐震性能を重視したい
・高熱費が気になるので、省エネ性の高い家が欲しい
・設計図どおりに工事がおこなわれるか心配…
・親と同居でバリアフリーの住宅がいい
・子供がアレルギー体質なので、シックハウスには気を付けたい
・事業者とトラブルになった時はどう対処すれば?
・住宅ローンや地震保険などの諸経費を押さえたい
など、住まいづくりには不安がいっぱいあります。その不安を解消する方法があります。
3.安心の住まいをつくるための公的制度「住宅性能表示制度」を活用
確かな住宅性能を担保するためには、公的制度の住宅性能表示制度を活用することが大切です。この住宅性能表示制度には下記のようなメリットがあります。
1.第三者の専門家が公正にチェック
2.住まいの性能をわかりやすく表示
3.万一のトラブルにも専門機関に相談できる
4.性能に応じてローン金利や地震保険料の特例がある
それぞれ詳しくお伝えしていきましょう。
3-1.第三者の専門家が公正にチェック
国土交通大臣等に登録された第三者機関である登録住宅性能評価機関が、住宅の性能の評価を行います。新築住宅の場合は、【設計段階】と【建設工事・完成段階】の評価があります。この【建設工事・完成段階】では基礎拝見工事の完了時、躯体工事の完了時、内装下地張り直前、竣工時の4回の検査があります。
3-2.住まいの性能をわかりやすく表示
住宅の耐震性、耐久性、省エネ性など最大10分野の性能を等級や数値などで表示します。等級は数字が大きいほど性能が高いことを表します。
(1)構造の安定(耐震性)
耐震性については倒壊や損傷のしにくさを等級1~3で表示します。耐震等級3は建築基準法レベル(耐震等級1)の1.5倍の強さがあります。
(2)火災時の安全
耐火性は火災時の安全を保護するための対策について評価します。外壁や窓については、どれくらいの時間、火熱に耐えられるかを等級により表示します。
(3)劣化の軽減
住宅に使用される材料の劣化の進行を遅らせるための対象がどの程度講じられているか等級1~3で表示します。等級3は3世代(概ね75~90年)まで構造躯体がもつことが想定されています。
(4)維持管理・更新への配慮
点検口が設置されているかなど、給湯排水管やガス管の維持管理(掃除、点検、補修)のしやすさを等級1~3で表示します。
(5)温熱環境・エネルギー消費量(省エネ性)
住宅の外皮(貼外壁。窓など)の断熱 性能を等級1~7で表示します。また、エネルギー消費性能(外皮の断熱性能、暖冷房、給湯などの設備の省エネ性能を総合的に評価)を等級1~7で表示します。
※断熱等級は、2022年3月までは「等級4」が最高等級でしたが、2022年4月に「等級5」、同年10月に「等級6」「等級7」が新設されました。2025年以降に新築する住宅では断熱等級4以上、2030年には等級5以上の義務化が予定されています。
(6)空気環境
住宅室内での健康への影響の原因として指摘されているホルムアルデヒドについて、建材からの発散量の少なさを等級1~3で表示します。科学物質の濃度を実測して表示することも可能です。
(7)高齢者等への配慮(バリアフリー性)
手摺の設置や段差の解消などの高齢者等への配慮のための対策がどの程度講じられているかを等級1~5で表示します。
(8)光・視環境
室内での作業に必要な明るさを、視覚に大きな負担をかけないように確保することは、住宅の計画上重要な課題です。また、住宅の窓などの開口部には、日照、採光、通風といった物理的効果に加えて、眺望、開放感、やすらぎの享受といった心理的なものがあるといわれます。この項目では、こうした開口部の効果に着目し、特に居室の開口部の面積と位置についての配慮を評価して表示します。
(9)音環境
騒音が室内に聞こえやすいと不快に感じるものです。特に、共同住宅では、上の階の子どもの走り回る音や食器などが落下する音や、隣の住戸からの人の話し声なども気になるものです。この項目では、共同住宅の床・壁の遮音性や、住宅の外壁に設ける窓の遮音性を高める対策を評価して表示します。戸建てでは、透過損失等級(外壁開口部)「居室の外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度」を1~3等級で表示します。
(10)防犯
近年、住宅への侵入盗犯罪が多く発生しており、住宅の防犯性に対して関心が高まっています。住宅の防犯性を向上させるには、「監視性の確保」、「領域性の強化」、「接近の制御」、「被害対象の強化」という4つの原則を守ることが有効であるとされています。この項目では、これら4つの原則のうち、「被害対象の強化」に着目して、住宅の開口部における侵入防止対策を表示します。開口部の侵入防止対策として、「通常想定される侵入行為による外部からの侵入を防止するための対策」を表示します。住宅の開口部を外部からの接近しやすさに応じて各階ごとにグループ化し、グループごとに属する全ての開口部について、侵入防止対策上有効な措置が講じられているか否かを表示します。
などがあります。詳しくは国土交通省HP住宅性能表示かんたんガイドをご覧ください
4.万一のトラブルにも専門機関が対応してくれるので安心
建設住宅性能評価書を取得した住宅でトラブルが起きた場合以、住宅紛争処理支援センターにおいて、建築士・弁護士による電話相談や対面相談などが無料で受けられるほか、指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会)が迅速な解決を図る紛争処理を申請料1万円のみで利用することができます。
5.耐震性能を等級で確認して、安心の住まいづくり
住宅性能表示制度では耐震性能を等級でわかりやすく表示しています。平成28年に発生した熊本地震は数多くの住宅に倒壊などの被害をもたらしました。この地震によって住宅の耐震性能の重要性が再認識されました。震源地に近い益城中心部の被害調査の結果、耐震等級(倒壊等防止)等級1~3のの木造住宅は大きな損傷が見られず大部分が無被害でした。
6.住宅性能表示のメリット
(1)住宅ローン減税の証明書類として利用できる
住宅ローン減税は各年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税および住民税から控除されます。この減税を受けるための証明書となるわけです。
(2)贈与税の税制特例がある
父母や祖父母などの直系尊属から、住宅の新築・取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合において、その資金のうち一定の金額について贈与税を非課税とする制度で、摘要条件を満たせば1000万まで非課税となる
(3)住宅ローンの金利引き下げがある
住宅性能表示を満たした長期優良住宅は、住宅ローンの金利引き下げや住宅ローン控除などの優遇措置を受けることができます。各住宅ローンを比べてみましょう。
(4)地震保険料の割引がある
住宅性能表示によって耐震等級が担保されている場合、地震保険料の割引率が最大50%になります。
7.住宅性能表示制度はだれが行うの?
住宅性能表示制度は、国土交通省大臣が登録した第三者機関(登録住宅性能評価機関)の評価員が評価を行います。住宅性能表示制度は、国土交通省が施行する「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいた制度で、住宅の性能を等級や数値で表示します。外見や間取り図では分からない住宅の性能を評価することで、新築住宅の購入や建築、既存住宅の売買やリフォームなどに役立てることができます。住宅性能表示制度の申請は誰でも行うことができますが、図面などの準備が必要なため、施主の依頼を受けて住宅会社が申請を行うのが一般的です。評価機関に申請する場合は、あらかじめ設計をしてもらう工務店などに相談しましょう。
8.手続きにはいくらかかる?
住宅性能評価書の申請費用は、設計住宅性能評価書のみで10万円程度、建設住宅性能評価書も取得する場合は20万円程度といわれていますが、延べ床面積や階数などで費用は変わりますので、工務店などに問い合わせてみると良いでしょう。
9.まとめ
住宅性能評価は、バラバラだった基準を客観的に統一したもので、第三者機関から認定を受けることで高性能な住宅と安心したこれからの住まいを手にいれることができます。もちろん住宅性能を上げるためにはコストがかかります。必ずしも性能の高い住宅しか建てられないという訳ではありません、しかし、住宅性能評価が補助金支給の条件にあわなければ利用できないので、これから家を補助金を使って家を建てたい方は建築会社としっかり打合せをしましょう。
出典:国土交通省 住宅性能表示制度の概要