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庭石を処分すると祟りがある?適切な処分のしかた

かつて日本の多くの家庭に見られた和風庭園。今でもこだわりのある和風の庭園を持ちたいと思う方もいらっしゃるでしょう。その中心的存在ともいえるのが「庭石」です。重厚で風格ある庭石は、単なる装飾ではなく、家の格や信仰、家族の思いを映す象徴でもありました。しかし、中古住宅の購入やリノベーションをする際に、時代の流れとともに庭の使い方や価値観が変化し、大きな庭石の処分に悩む方もいらっしゃいます。今回は、庭石の意味や祟りにまつわる民間伝承、実際の処分方法、心の整理の仕方まで、わかりやすくお伝えします。

1. そもそも庭石とは?

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庭石というものはざっくりとはわかっていても、どういうものか分からないという方もいらっしゃると思います。簡単にお伝えしていきます。

1-1. 庭石の役割

庭石とは、庭園における景観づくりや精神的な意味合いを持って設置される石のことです。特に和風庭園においては、立石(たていし)、伏石(ふせいし)、飛び石(とびいし)、添石(そえいし)など、石の配置や形状によって分類されます。また、庭石は「永遠性」や「自然との調和」を象徴する存在として、神仏への信仰や家の格式を示すものでもありました。

1-2. 景石という存在

特に目を引く庭石は「景石(けいせき)」と呼ばれ、庭の主役として据えられます。選定には見た目の美しさ、形状の個性、周囲とのバランスが重視されます。代表的な種類には、御嶽石、亀甲石、蛍石、虫食い石などがあり、それぞれに独自の表情や風合いを持っています。

2. 庭石を処分すると祟りがあるって本当?

庭石を処分すると祟りがある?適切な処分のしかた

祠や植栽の処分の際は、神舎などにお願いしてから行うという方もいらっしゃいます。では、庭石に関してはどのような扱いとなるのでしょうか。それぞれ、順にお伝えしていきます。

2-1.石はただの自然物

はじめに申し上げたいことは、庭石でもパワーストーンと呼ばれるものでも、果ては宝石でもそれは石であることに変わりはありません。自然界で出来たものでしかないのです。石の種類によっては、稀に放射線や人にとって有害な物質を含むことがありますが、庭石に関してはそういった害はありません。処分にためらいがない方は、何も気にせず淡々と処分業者などに依頼しましょう。

2-2. 民間伝承としての「祟り」

「石を動かしたら体調を崩した」「夜な夜な声が聞こえた」などの話を聞いたことがある方もいるかもしれません。全国各地に残る“庭石の祟り”にまつわる伝承は、決して珍しくありません。特に次のような石には注意が必要とされてきました。
●神社仏閣の境内にあった石
●古墳や祠の近くにあった石
●由来のわからない大石
これらは「磐座(いわくら)」や「神籬(ひもろぎ)」と呼ばれ、古代から神が宿る場所とされてきた神聖な存在です。たとえば、奈良の大神神社や京都の貴船神社では、今も磐座が祀られています。

2-3. 祟り(災い)を避けるには

庭石を処分することによる災いが存在するかどうかは別として、「なんとなく心配」「先祖が大切にしていた」という場合は、地元の神社でお祓い(魂抜き)をお願いするのが安心です。これは宗教的というより、精神的なケア、つまり“心の整理”の一つでもあります。「ただの石」と思わず、誰かの思いが込められたものと捉えることが、円満に手放すことにつながります。

3. 庭石の処分方法

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実際に庭石を手放す際、どのような方法があるのでしょうか?大きく分けて以下の3つです。

3-1. 専門業者に依頼する

もっとも一般的で安全な方法は、専門業者に依頼することです。対応してくれる業者には以下のような種類があります。
●造園業者
●解体業者
●庭師
●不用品回収業者
料金は石の大きさ・重さ・数・搬出経路によって異なりますが、目安として1個あたり数万円〜十数万円がかかることも。特に大型庭石の場合、クレーンや重機を使う必要があり、追加費用が発生します。事前に複数社から見積もりを取るのがベストです。

3-2. リサイクル・再利用

状態の良い庭石であれば、他の庭で再利用される可能性があります。近年では中古の庭石市場もあり、石材店や造園業者が買い取ったり、無料で引き取ったりするケースもあります。また、SNSや地域掲示板で「引き取り手募集」として投稿すれば、持って行ってくれる人が見つかる可能性もあります。ただし、庭石の搬出は危険が伴うため、自力での作業は避けた方が安全です。

3-3. 自治体に相談する

庭石は「粗大ごみ」としては回収されないことが多いですが、自治体によっては「建設廃材」として処分を受け付けているところもあります。中には「許可業者を通して処分場に持ち込む」必要がある地域もあるため、必ず役所の環境課や清掃センターに事前確認を。ルールを守って処分しましょう。

4. 自分でやる?プロに任せる?

庭石を処分すると祟りがある?適切な処分のしかた

庭石は想像以上に重く、100kg以上あることも珍しくありません。表面だけが見えていても、地中に深く埋まっているケースもあります。「DIYでどうにかならないか」と思う方もいるかもしれませんが、リスクはつきものです。ケガ(腰痛、落下事故)や、道具や車の破損、地面や家屋の損傷など、思った以上に大変なことになりまねません。それらを庭石の祟りと紐づけて、忌み物となってしまう可能性もあります。結果的には、プロに頼んだ方がコストも抑えられる場合もあるので、安全を第一に考えて処分しましょう。

5. 庭石が埋まっている土地をどうする?

庭石を処分すると祟りがある?適切な処分のしかた

 

5-1. 土地の活用や売却時は要注意

「いずれ土地を売ろう」「新しく家を建てよう」と考えている場合、庭石が残っていることはトラブルの元になります。また、土地の所有者が、広い敷地に邪魔になった石を埋めてしまうケースもあるようです。とくに地中に埋まっている庭石は、見た目には分からず撤去済みと誤認されやすいため、以下のような影響があります。
●建物基礎の邪魔になる
●地盤改良の妨げになる
●売却時に買主とのトラブルになる
ですから、土地や家屋の売却予定があるなら、「庭石の有無」を必ず事前に伝え、必要に応じて撤去しておくと安心です。

6. 人によって「庭石」の捉え方は異なる

庭石を処分すると祟りがある?適切な処分のしかた

庭石を大切にされる方にとっては、単なる石ではありません。かつてその家に住んでいた人が選び、時間と手間をかけて据えたもの。そこには大げさかもしれませんが美意識や価値観、生き方が反映されています。中古住宅の購入や、住まいのリノベーションにあたり、もし処分を迷っているなら、それは「住まいの過去」と向き合おうとしている証拠。どう処分するかはもちろん、過去の記憶も大切にしてみてください。もし、処分するにあたり庭石を大切にしていた人の気持ちに共感できるなら、一部を残したり、記念写真を撮っておくなど、形を変えて残すという選択肢もあります。

まとめ:庭石の処分は心の整理でもある

庭石を処分すると祟りがある?適切な処分のしかた

庭石の処分とは、単なる作業ではなく、土地や家族の歴史と向き合う「心の整理」とも言えるでしょう。また、もし祟りなどが気になるなら、お祓いを通じて心の整理をし、専門の業者にお願いしましょう。「ただの石」という認識でもその背景を考えるにしても、ご自身にとって納得のいく処分方法を選んでください。そして気持ちよく、新しい暮らしへとスタートを切りましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければ関連記事「中古物件 庭の木を切るときお祓いは必要?」も併せてご覧いただけますと幸いです。

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