「掃除用具はどこで洗う?洗面台?それとも浴室で?キッチンは嫌だよね?でも外まで行くのは面倒だよね。」
こんな夫婦の会話から、この記事にたどり付いたかもしれません。注文住宅や新築を検討している際、便利な設備でどれを取り入れるか悩むことが多いと思います。その中でも「スロップシンク」は特に主婦層に人気のある設備の一つです。しかし、実際に必要かどうかは、家庭のライフスタイルやニーズによります。
この記事では、スロップシンクの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説し、どんな場合に設置を検討すべきか紹介しています。お子さんの健康を保つ重要な内容も紹介しているので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
1. スロップシンクとは
スロップシンクとは掃除用の大型の流しのことで、掃除道具や汚れた衣類を洗うためのものです。スロップ(slop)は、英語で汚水を意味し、建築業界では略して「SK(エスケー)」と呼んだり、または「ユーティリティシンク」や「マルチシンク」とも呼ばれています。
スロップシンクの用途は?
スロップシンクは、ガーデニング用品やペット・ペット用品、泥がついた衣類、子供の汚れた靴など、通常のシンクでは洗いにくいものを洗う際に便利です。素材は頑丈なステンレスや陶器が使われ、底が深い形状になっていて掃除がしやすい設計になっています。
スロップシンクは、生活必需品ではありませんが、「やっぱり付けておいてよかった!」という声も多い設備です。あなたのライフスタイルにとって、必要かどうか検討してみてください。
2. スロップシンク 屋内と屋外での用途の違いは?
2-1.屋内のスロップシンク
屋内のスロップシンクは、お掃除道具の雑巾やモップの洗浄、お子様のいる家や介護の必要な方の汚れもの、作業着を付け置きするのに便利です。汚れた靴の泥を落とし、付け置きして洗うまでの過程を一か所で済ませることもできます。
また、台所では狭いと感じるレンジフードなどの油汚れの付け置きにも利用できます。小型のペットのケアシャンプーなども、温水が出るようにしておけば可能です。お風呂や洗面台で洗うと色残りが気になるお習字道具や絵の具セットも、気にせず洗うことができます。
このように、汚れが気になるものの洗浄に特化した設備なのです。
2-2.屋外のスロップシンク
屋外のスロップシンクは、アウトドアなどの趣味を楽しむ方にとって重宝します。例えばガーデニングが趣味の方は、植木鉢や土のついた道具を洗うのに便利です。キャンプやマリンスポーツ、釣り、DIYや塗装をされる方にも重宝されるでしょう。
また、ペットの脚洗いや、シャンプー台替わりにも使用できます。お子様がいる家庭では、泥のついた靴や洋服などをさっと洗うことができます。但し、地域にもよりますが冬場の凍結には注意が必要です。
2-3.屋外にシンクという選択肢も
屋外で洗うものには大きなものがたくさんあります。キャンプ用品のテントや椅子などは、洗って干すまでが一連作業となるので、大きめのステンレスシンクがあると便利でしょう。また、釣りが趣味の方は、クーラーボックスの洗浄も楽にできます。
そして、釣った魚を捌くにも、うろこや内臓の飛び散りで気を遣うことも減るでしょう。バーベキューの準備や洗い物も、屋内キッチンに持ち込まなくて済むのでとても便利です。
2-4.屋外は立水栓で事足りることも
ライフスタイルや設置スペースがとれず、スロップシンクまでは必要なさそうという方には、屋外の立水栓で十分です。延長のシャワーホースをつけて、洗車、ペットのケア、靴洗い、草木の水やりなど幅広く利用できます。
3. スロップシンクのメリット・デメリット
スロップシンクは非常に便利な設備ですが、ライフスタイルによって必要かどうかはご自身の選択になります。ここでは、屋内スロップシンクに絞って、そのメリットとデメリットについて紹介していきましょう。
3-1.屋内スロップシンクのメリット
屋内スロップシンクのメリットは全部で4つです。
- 汚れたものを洗う専用の場所を確保できる
- 洗い物が効率的になる
- 浸け置きの場所で困らない
- 衛生面の向上
それぞれ詳しく解説していきます。
1.汚れたものを洗う専用の場所を確保できる
スロップシンクは、泥や油汚れなど、通常のシンクで洗うと詰まりやすいものを扱うために最適です。また、お子様のいるご家庭、介護をされている方、作業着が多い方などは衣類を浸け置きに使用できるのでとても便利です。さらに使用範囲として、
- 掃除用具:モップや雑巾などの洗い場
- 黄ばんだシャツや生乾き臭が取れない衣類:酸素系漂白剤や台所用洗剤、重曹で付け置き
- 汚れた衣類:お子様や介護で出た肌着やパジャマ、シーツなどの付け置き
- 作業着:油汚れなどの付け置き
- ペットケア:ペットのおもちゃ洗いや、シャンプー、散歩帰りの脚洗い
- 墨汁や絵の具:使用した後の道具や筆洗いなど
- キッチンの油汚れのもの:レンジフードや五徳の付け置き洗い
- ウィルスや菌のついた衣類:消毒や予洗い
だいたいこのようなケースに利用される方が多いと思います。汚れた物を洗う場所と洗面所やお風呂場を分けることができるのもメリットです。また、浸け置きによって洗面所やお風呂場を占領されることもなくなるでしょう。
お気に入りの洗面台にキズがつく心配もありません。深めのスロップシンクを設置するなら、10Lのバケツが入るものもあります。お掃除にはとても便利ですね。
2.洗い物が効率的になる
洗濯機の横に設置すれば、洗濯や作業効率を上げ、他の家事との同時進行が可能です。例えば、浸け置きをした衣類や汚れた衣類を、すぐ横の洗濯機に移せるだけでも効率は違います。
また、ランドリールームを設置する予定の方は、洗面所とお風呂から水場が遠くなるため、設置すると便利です。宜しければ関連記事の「注文住宅 ランドリールームは必要?」も併せてお読みください
3.付け置きの場所で困らない
例えばこんなことはありませんか?
・お風呂に入りたいのに、付け置き中のオケが邪魔
・洗面器で付け置きしていて、洗面所が使えない
そこでスロップシンクの出番です。洗面所やお風呂使えないストレスから解放されます。Z世代に浸透しているタイパ(タイムパフォーマンスの略)が良いことはとても重要なことです。また、コスパの面でも、10年以上使用すると考えれば、十分に元はとれる設備です。
付け置きは洗濯槽を利用する方もいらっしゃいますが、汚れのひどいものは別にしたいと思いますよね。そして、付け置きには「オケ」などを使用しますが、使い終わった後に洗浄して拭いて…となると手間もかかりますし、収納にも場所をとります。
でも、スロップシンクがあれば、この手間も省くことができ、家事の効率化に繋がります。
4.衛生環境の向上
スロップシンクは汚いものを処理するための専用の場所です。トイレ掃除をした後の掃除用具を洗ったり、吐しゃ物(ゲロ)や下痢の後処理に使用し、他の場所を汚染から守るのが本来の役割です。
たとえば、子供がウィルス性の胃腸炎で嘔吐したときに浴室や洗面台で洗ったことで、親に二次被害が及ぶ可能性が高くなります。でも、専用の場所としてスロップシンクで処理すれば、その可能性を低く抑えられ二次感染の防止に役立ちます。
学校や病院にスロップシンクがあるのは、こういった理由からなのです。
3-2.スロップシンクのデメリット
スロップシンクのデメリットは全部で4つあります。
- 設置スペースが必要
- コストがかかる
- 使用頻度が限られる
- 見栄えが悪い
こちらも一つずつ詳しく解説していきます。
1.設置スペースが必要
スロップシンクを設置するには、専用のスペースが必要です。特に室内に設置する場合、間取りや家全体のデザインを考慮しなければならず、設置が難しいこともあります。
2.コストがかかる
スロップシンク本体の価格に加え、水道や排水設備の工事費用も発生します。これらを考慮すると、設置コストが高くなることもあります。
3.使用頻度が限られる
スロップシンクが活躍するのは、汚れものに限られることが多いです。そのため、ライフスタイルによってあまり必要性を感じないということもあります。
4.見栄えが悪い
確かに汎用品は、ぱっと見かっこいいとは言えません。デパートなどのトイレにある「アレ」を連想する方もいらっしゃると思います。スロップシンクは本来実用性を求めるものなので、当然といえば当然…。
ですが、最近は見栄えの良いものもたくさんあります。次の章でお伝えしていきましょう。
4. おしゃれで便利なスロップシンク
近年では、実用性だけでなくデザイン性も兼ね備えたスロップシンクが人気です。
屋内用や屋外用として、
- ステンレス製や陶器製の高級感のあるもの
- タイル張りでインテリアにマッチするもの
など、さまざまなデザインが登場しています。おしゃれなスロップシンクは、インテリアの一部として家の中や庭の雰囲気を損なわず、逆に空間を引き立てる効果があります。また、カラーバリエーションも増え、シンプルな白以外の色も選ぶことも可能です。
蛇口をオシャレなものに変えるだけでも見栄えが違います。色々なメーカーものを見比べてみるのも良いでしょう。
4-1.筆者が好きなスロップシンク
工務店の監督をしながらこの記事を書いている訳ですが、色々なスロップシンクを見た中で個人的に好きなメーカーを紹介します。
ミラタップ
ミラタップのスロップシンクは洗練られたデザインが特徴的です。
- アクレッタ:コンパクトながらもバケツが入る大きさを確保することで、使い勝手と空間への配慮が施されています。
- スロップシンク:その名の通り「THE・スロップシンク」です。屋外・屋内のどちらに付けても安心して使えるサイズが特徴です。
メーカーの回し者と思われると嫌なので多くは語りません。よかったら参考にしてみてください。
5. スロップシンクを付けるなら
スロップシンクを設置すると決めたら、どんなことに注意すればよいでしょうか。屋内で必要とされる便利な機能、場所などをリストアップしてみました。
- 設置場所:間取りとして十分なスペースがとれるか確認しましょう。
- 家事同線:使用目的によって便利な場所であるかを考慮しましょう。洗濯機の近くにあると便利です。
- お湯が出るか:混合栓にして、お湯の温度を調整できるようにすると付け置きに便利です。
- シャワー機能:水栓にシャワーヘッドがついたタイプもあります。ペットのケアや、本体の掃除に便利です。
- 大きさ・深さ:様々なスロップシンクがあります。ご自身のライフスタイルによって検討しましょう。
- 設備の高さ:蛇口の高さや本体の高さは、使用頻度の高い人に合わせましょう。作業をする時の少しかがんだ姿勢の高さにすると良いでしょう。
- 掃除のしやすさ:スロップシンクは汚れやすい場所です。本体の掃除のしやすさも大切です。
- 壁や床の防水:水で濡れることを考慮して、撥水耐水のタイルやキッチン用の壁紙を貼ると良いでしょう。
スロップシンクを付けるなら新築時がおすすめ
スロップシンクを付けるなら新築時がおすすめです。間取りから設置場所を考えられます。後からつけようと考えていると、配管工事も必要となってくるため費用もかさみます。更に混合栓にしておくと、お湯の温度を調整できて、付け置きなども楽になります。
※海外製のスロップシンクやハンドルなどは、オシャレでとても素敵なものがたくさんありますが、弊社ではスロップシンクの海外製品の取り扱いはございません。輸入などをされる場合はあくまでも自己責任でお願いします。参考までに「pinterestスロップシンク参考画像」。
6. スロップシンク まとめ
スロップシンクは必ず必要なものではありません。ですが、設置することで、衛生面や利便性を感じることができるでしょう。特に子育て世帯や介護、作業着など予洗いが必要な場面では非常に便利です。コストはかかりますが、使う方にとっては家事効率が上がる設備です。
自分のライフスタイルや家庭のニーズに合わせて、スロップシンクを取り入れるかどうかを検討すると良いでしょう。更に、おしゃれなデザインを取り入れて、便利で快適な生活を実現させましょう!
最後までお読みくださいり、ありがとうございます
最後まで読んでくださりありがとうございました。この記事が皆様のお役にたてたら幸いです。読んでみて疑問に思ったことや解決しなかったことがありましたら、ぜひ教えてください。
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