注文住宅を建てるとき、多くの方が悩むのが「間取り」です。自由度が高いからこそ、選択肢が多く、迷いやすいポイントになっています。
間取りの後悔、実は多い?
住宅金融支援機構の調査によると、「注文住宅の間取りで後悔した」と答えた人は全体の約3割以上。
特に失敗しやすいのは「収納」「動線」「空間の広さ」など、住んでから気づく部分です。
せっかくの注文住宅で後悔しないためには、見た目や流行だけでなく、“自分たちの暮らし”に合った計画が重要です。
この記事では、よくある失敗例とその対策を、現場目線で解説していきます。
1. 他人の間取りを真似しすぎると失敗する
SNSや住宅展示場には、素敵な間取りの事例があふれています。
「お隣の芝生は青く見える」心理から、つい真似したくなるものですが、それが本当に自分たちに合っているとは限りません。
たとえば、家族構成やライフスタイル、地域の気候によって、家の設計も使い方も大きく変わります。
関西と東北では、家の断熱性能や動線の考え方にも違いがありますよね。
理想的に見える間取りでも、実際には不便なこともあります。
事例はあくまで参考程度にして、「自分たちの暮らしに必要かどうか」で判断しましょう。
2. 将来の暮らしを想像していない
家を建てるときは、どうしても「今」の暮らしにばかり意識が向きがちです。
特に子どもが小さい時期などは、5年後・10年後の生活まで想像するのは難しいもの。
しかし、家は何十年と住み続ける場所。
子どもの成長や独立、夫婦の老後など、将来のライフスタイルの変化も考慮することで、長く快適に暮らせる間取りになります。
3. 収納は「量」ではなく「必要性」から考える
「収納スペースは多い方がいい」と思いがちですが、大切なのは「何をしまうか」を把握することです。
使わないモノを保管し続けるだけの空間は、場所もお金も無駄になります。
本当に必要なモノの量を把握し、それに合わせて収納を設計しましょう。
思い出の品など、どうしても捨てづらいモノはありますよね。
でも、多くの場合、目にしないと忘れていることもあります。
写真やデジタル保存なども活用し、収納に“感情的な余分”を溜めこまない工夫が必要です。
4. 2階バルコニーは本当に必要?実用性とコストの落とし穴
洗濯物を干すために2階バルコニーを設ける方も多いですが、
実際には「使わなくなった」「メンテナンスが大変だった」と後悔する声もよく聞きます。
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洗濯室が1階にあると階段移動が大変
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防水処理の定期メンテナンスに20万円以上かかることも
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天気や季節に左右されやすく、外干ししづらい
その代わりにおすすめなのが「ランドリールーム」。
室内干しができ、家事動線も短縮され、天候の心配もありません。
衣類収納と一体にすれば、“洗う・干す・しまう”が1部屋で完結します。
5. 家事動線が悪いと毎日が疲れる
家事動線が悪いと、毎日の負担が増えていきます。
洗濯機から干し場、キッチンからパントリーなど、生活の中での“移動距離”は想像以上に影響が大きいです。
特に共働き家庭では、効率的な動線が時短とストレス軽減につながります。
たとえば:
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キッチン → パントリー → ランドリー → ファミリークローゼット
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玄関 → シューズクローク → リビングへのルート
このように、生活の流れに合わせて“線”で考えると、暮らしやすさがぐんとアップします。
6. 広すぎるリビングは「不安」からくる選択かも?
「リビングは広いほうが安心」と考えて、必要以上にスペースを取りすぎてしまうこともあります。
実際には、冷暖房の効率が落ちたり、家具の配置に困ったりして「使いにくい」と感じるケースもあります。
このような選択の背景には、「狭いよりは広い方がいい」という“安心感”が影響していることも。
しかし、空間にもコストがかかります。
無駄のない設計にするためには、「広さ=安心」とは限らないことを覚えておきましょう。
7. 番外編:リビング階段や駐車場にも落とし穴あり
リビング階段は、家族の様子が見えて安心できる反面、冷暖房効率の低下や生活感が見えやすいという声も。
また、駐車場の配置や広さも見落としがちなポイントです。
「車が停めにくい」「来客用スペースがなくて困った」といった後悔も少なくありません。
玄関や宅配ボックス、ゴミ出し動線などとセットで考えることで、使いやすい空間が実現できます。
まとめ:間取りは「これからの暮らし」から逆算しよう
注文住宅は自由度が高い分、間取りでの失敗が起こりやすいです。
しかし、その一方で「自分に合った間取り」に出会えたときの満足度も高くなります。
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他人の事例に惑わされない
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今だけでなく未来の生活を想像する
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家事や収納の“流れ”を間取りに落とし込む
こうした視点をもつことで、後悔のない家づくりにつながります。ぜひ、参考にしてみてくださいね。