注文住宅を検討されている方から、生活音についてのご質問を受けました。移民されてきている外国人の問題もあるので、騒音問題は意外と身近な問題になりつつあります。そんな身近な音の質問に対して私が回答した内容を織り交ぜながら詳しくご紹介したいと思います。
防音対策を安く抑えるポイントも掲載していますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
1.注文住宅の防音対策は気になる音で変わる
注文住宅の防音対策は気になる音で変わります。気になる音を細分化すると「騒音」「生活音」「自然音」が挙げられると思います。詳しく説明していきますので、ご自身がどこを気にしているのかまず明確にしましょう。
- 騒音:車の走行音・鳥の鳴き声・カエルの鳴き声・近隣で生活されている方が発生させる音
- 生活音:自宅の床を歩く音・食器を洗う音・トイレの音など
- 自然音:風・雨・雷の音
以上のように「音」と言っても発生源ごとに種類があります。ご自身がどの音を気にされているのかを洗い出して防音対策に活かしましょう。
ちょっと余談ですが、「環境省の令和4年度騒音規制法等施行状況調査の結果」によると騒音に関しての苦情件数が増加しています。データを見ると一時的に低くなったようですが、近年は件数が増加しています。
音が気になる方が増えているのかもしれませんね。(参考:環境省 別添 騒音規制法等施行状況調査の詳細)
気になる音に合わせて防音部材が変化する
気になる音の防音に合わせて使用部材が変わります。私はあくまで施工する側なので注文住宅の防音部材に関しては、「DAIKEN – 大建工業株式会社」さんのページを参考にした方が格段に分かりやすいです。
- 天井・壁の遮音
- 開口部の遮音
- 床の防振と遮音
- 調音
などの部位ごとの説明から「防音材を選ぶ流れ」も紹介されています。商品が気になる方にはとても参考になる記事ですのでオススメです。(参考:DAIKEN – 大建工業株式会社 防音材とは?遮音材、吸音材との違いや気になる選び方もご紹介!)
2.注文住宅の防音対策は新築時に行う方が良い
防音対策は新築時に行うことをおススメしています。なぜならリフォームは新築時と比較すると3倍の費用が掛かると言われているからです。
リフォーム費用が新築と比較し「3倍」になる理由
もしリフォームで防音対策を行うとなると以下のような項目が発生します。
- 家具移動の費用
- 養生費用
- 既存壁や天井の解体費用
- 材料購入費
- 設置や取付けの費用
- 解体部の復旧費用
- 掃除費用
「入れたり、付けるだけだから簡単だべ!」と思われるかも知れませんが、そうも行かないのが現実です。もし生活をされている状況なら、家具や家電がすでに置かれている状況です。場所によっては、家具の移動が必要となります。お客様がご自身で移動されないのであれば、その手間は建築会社の費用として見積りに計上します。
また、養生も発生します。通路・家財・家具・家電と工事で発生する粉塵や汚れが付着しないよう保護も含めて養生をします。これらも同じように見積りに計上されます。さらに、壁内への施工となると既存の壁の解体と壁紙の仕上げまで発生します。
このように解体・施工・仕上げと3拍子が揃っているため、新築と比較すると3倍の費用計算となるのです。であれば、最初から防音対策をしておく方が断然お安くなるのは間違いありません。結論として注文住宅の防音対策は新築時に行った方が良い、ということなのです。
注文住宅の新築時に防音対策をすると、費用的にはどうなの?
リフォームだと費用は高くなる理由を紹介してきましたが、逆に注文住宅の新築時ならどうでしょう。項目としては、以下の通りです。
- 資材購入費
- 取付施工費
リフォームと比較して項目が圧倒的に少ないのが見て分かると思います。新築時は家具もありませんし、養生は必要に応じて行うため項目としては発生しないのです。もちろん、解体や復旧もありません。項目が少なければ費用も安く抑えられる、というわけです。
単純計算で、仮にリフォームで「100万円」の費用が掛かるとしたら、新築時は「33万円」です。これほど正直な結果になる訳ではありませんが、項目の数を比較しても明らかに安くなる要素が多いことを理解して頂けたかと思います。
関連記事として「安く家が建つ?お金をかけない家づくり5選」もありますので、よろしければこちらもどうぞ。
3.注文住宅の防音対策方法とは?
注文住宅の防音対策方法は場所によって異なります。これから詳しく説明していきましょう。
注文住宅の防音対策 騒音と自然音
騒音と自然音は外からの音になるので、建物の外部にあたる部分をメインに対策を行います。
- 断熱性・気密性の向上
- サッシとその周辺の防音対策
断熱性・気密性の向上
建物外部にあたる部分の施工例としては、断熱性と気密性の向上です。断熱材は、密度と厚さで性能が決まっています。気密性は隙間の大きさで性能が決まっています。極端な話ですが、断熱材の密度と厚さがあるものを使用し、隙間がない状態にできれば音が伝わりにくい構造となります。
断熱工法としては、ウレタンの吹付工法が間違いないと思います。ウレタンを吹き付けることで隙間にも入り込み気密性も担保できます。
サッシとその周辺の防音対策
また音の出入りする場所としてはサッシも大きな原因となります。熱の出入りする場所として対策が言われがちのサッシですが、音の出入りもしています。そのためペアガラスよりはトリプルガラスの方が良いです。
サッシ周辺の対策としては、ブラインドよりは厚めのカーテンの方が防音対策としては良いです。リフォームの場合は内窓という選択肢もあり、断熱性能の防音対策を一度に行える優秀な製品となっています。
注文住宅の防音対策 生活音
生活音の防音対策は、各所によって方法が様々です。以降で詳しくお伝えしていきましょう。
- 床の足音
- トイレの音
- キッチンの音
- 音の盲点は「排水管」
床の足音
室内の足音は、「遮音マット」と言われるような「遮音用下地材」を使用することで大幅に改善できます。仕上げの床材も音を軽減できるものがあるので遮音用下地材と併用することで、さらに防音対策の効果が高くなります。
トイレの音
トイレの音は聞かれてしまうのも聞こえてしまうのも嫌な気持ちになりますよね。それだけではなくトイレを流す音を気にされる方もいます。トイレの音に対策をする場合は、囲んでいる3方の壁に防音対策を施します。基本的に外部の壁内は断熱・気密処理が行われていますが、内部の壁内は何も施されていません。
木材で下地がしてあり、石膏ボードと壁紙が張られているだけの仕様がほとんどです。そのため「吸音材」や「吸音シート」を壁内に施す防音対策方法がメインになります。個人的には、普段は何も入っていない場所なので断熱材と気密テープで、しっかり施工をすることでも防音対策は可能だと思っています。
キッチンの音
テレビを見ているとキッチンで出る音が気になるときがあります。対策としては、サイレントシンクやサイレントレールを搭載しているキッチンがおすすめです。また、後付けでもできる防音材もあります。DIYされている方もいらっしゃるので気になる方は調べてみてもいいかもしれません。
音の盲点は「排水管」
意外と知られていないのが「排水管から音が伝わって聞こえる現象」です。住宅では2階にトイレや洗面台があると配管が通っている部屋に音が聞こえてしまう場合があります。水が流れる音も発生するため配管に防音材や遮音材を巻き付けますが、その配慮が欠けている施工店もあります。
私は、過去に大人のホテルに行った際に風呂の排水口から隣の部屋で発生した音が漏れ出ているのを聞いた経験があります。自分に同じことが起こったら恥ずかしくて堪りません。実際に経験してるから言えますが、生活に支障が出る場合も想定されます。
配管の処理については、大体は標準施工範囲に入ります。万が一があってはならないので、忘れずに対策方法を確認した方がいいでしょう。
完全に音をシャットダウンするには防音室
これまで紹介してきた内容は自然音や騒音や生活音に関することです。もし、あなたが音楽を演奏したり、大音量で映画鑑賞するための部屋を考えているなら防音室がオススメです。
どこまで専門的にするかによって防音対策の幅が変化し、場合によっては調査や施工を防音や音響専門業者に依頼する必要もあります。ここまでになると私は何も言えなくなる分野ですので、必要以上はしゃべらないようにしますね。
4.注文住宅の防音対策はその他の音にも有効
ご紹介している防音対策はその他の音にも有効です。たとえば、ペットが発する音にも有効です。近年は家族の一員としての地位を確立しているペットですが、発する音が気になられる方もいらっしゃると思います。
また、夜の営み音にも有効です。両方とも生活していく中でとても重要なことなので、それぞれを詳しくお伝えしていきましょう。
ペット音にも有効
これまで紹介した防音対策は、ペットを飼われる方にも有効な方法です。カツカツと音を立てて走ってくるワンちゃんの足音やトイレ後の砂かけの音など、ペット音にも対応できる有効な防音対策でもあります。
しかし、対策方法によっては飼っているペットの病気を発症させかねません。たとえば、滑りやすい床は足腰の不調の原因となります。今やペットも大事な家族なので、建築会社に相談して採用を検討することをおススメします。
夜の営み音にも有効
どこの記事でも紹介していないことですが、とても重要なことなので私はお伝えします。これまでお伝えした対策は、夜の営み音にも効果を発揮します。音を気にして遠慮しがちになると夜の営みは激減し、その先には「レス」となることが多いです。
スキンシップは夫婦円満のもとです。家庭円満にも繋がる大事な要素です。気にされる方は参考にしてみてください。
5.注文住宅の防音対策の気になる効果は?
注文住宅の防音対策効果は様々なところに表れてきます。代表的な2つの効果をそれぞれ詳しくお伝えしましょう。
快眠効果
防音対策の効果として、快眠効果があります。外部からの音が遮られることで室内は静かな空間へと変化します。これまで聞こえていた雑音がなくなることで、よく眠れるようになったという声を頂きます。
実際に、風雨が強い日でも風が吹く音と打ち付ける雨音は気にならない音量まで下がります。同様に、車の走行音やカラスの鳴き声なども聞こえにくくなります。そのため音が原因で不眠を感じられている方とって、とても効果的な対策と言えると思います。
ストレスの軽減
意味合い的に広くなりますが、ストレスの軽減効果もあります。
- 外部発生音の軽減
- 内部発生音の軽減
静かな空間になったことにより雑音からのストレスが軽減しリラックス効果がえられます。外部から聞こえてくる音が小さくなるのはイメージとして分かりやすいですが、内部から発生する音も軽減されます。
たとえば、近くが住宅街だった場合の暮し方として、ご自身宅から発生する音を気にして近所に迷惑をかけない生活をしてると思います。特に子供たちのはしゃぐ声は意外と広範囲に響き渡るため近所迷惑になっていないか気になりますよね。
このように外部だけでなく、内部から発生する音に対しても防音効果は発揮します。そのため、子供たちの我慢と近所への音の心配に対する両方のストレスが軽減します。要するに、ノビノビできるようになる、ということです。
6.注文住宅の防音対策は防犯には不向きなところも
防音対策が防犯の観点から見たときに不向きな対策になることもあります。理由としては、音は「異変を知らせるサイン」でもあるからです。そう考えた場合に音が聞こえなくなることで「防犯的には脆弱」になることも考慮しなければなりません。
外周部の音が聞こえないと「不審者」に気付けない
外部の音が聞こえなくなるということは、自宅周辺を歩いている人の足音が聞こえなくなります。昔は、犬走に砂利を敷きました。踏むと「ジャッ、ジャッ」と音が鳴ります。これにより建物に近づいてきた人を「音で察知」できたのです。
しかも、砂利は凹凸があるため音がしないように静かに歩くのが困難な一面もありました。しかし、近年ではコンクリートを打つことが一般的となり、足音を立てずに静かに歩くことが可能になってしまったのです。
もし仮に、不審者が建物の裏手を歩き回っていても気付けるサインが減ってしまったのです。さらに外部に対し防音対策を行うとさらに音は聞こえなくなります。防犯面を補うためにセンサーライトや防犯カメラなどで対策をするようになると思いますが、防音対策が防犯対策になるとは限らないのです。
自分が見えない聞こえないは相手も同じ
自分が見えない聞こえないは相手も同じ状況にあると言えます。防犯の話をする方の多くは、家の中を見えない状況にすることをおすすめしています。
でも、果たしてそれが本当の防犯になるのか疑問に思う部分があります。なぜなら、矛盾のような現象が起こりえるからです。先にもお伝えしているように、「建物に近づいてきた部外者の足音に気付けなった」といった現象が実際に起こるのです。
メリットとデメリットは必ずあります。防音対策を行う前に、しっかり検討してバランスのとれた方法の採用をおすすめします。
天候の異変にも気づきにくい
防音対策は天候の異変にも気づきにくくなることがあります。外を見たときに「曇り空」を見て曇って空の状況を把握します。雨はどうでしょう?室内にいるときに雨が降っている判断は音でするのが多くないですか?
私は感覚派なので完全に「音」で判断する派です。意外と室内から窓越しに外の状況を見ていると、降り始めの雨は確認が難しいため音を頼って判断しています。休日なんかは、急に雨音が聞こえてきたときには急いで外に干してある洗濯物を回収してきます。
また、夜は完全に音だよりです。雷も風も同様です。ちなみに、内窓を設置したお客様からも同じような言葉を実際に頂いています。「音が聞こえなくて不便な面もある」と…。このように音が聞こえないことによる弊害もあることを一つ理解しておきましょう。
7.注文住宅の防音対策 まとめ
注文住宅の防音対策についてお伝えしました。間違いなく言えることは、新築時に行うことで無駄な費用が抑えられることです。また、ご自身で気になる音について、それぞれに区分けと対応策が分かれていることも知って頂けたかと思います。
まとめの最後に、「どこを防音したいの?」「なぜ防音したいの?」とご自身に問いかけてみてください。全体なのか局所なのか、誰向けの防音なのか、ご自身の目的がはっきりすると思います。注文住宅の防音対策を検討中だと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
最後までお読みくださいり、ありがとうございます
最後まで読んでくださりありがとうございました。この記事が皆様のお役にたてたら幸いです。読んでみて疑問に思ったことや解決しなかったことがありましたら、ぜひ教えてください。
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