「注文住宅の坪単価はいくらでしょうか?」
これから注文住宅を建てられる方にとって、建築費用と直結する坪単価は気になるところだと思います。これについては、様々な観点から詳しく説明しないといけない部分が多い話になるので、初めての人でも分かりやすいように詳しく解説していきましょう。
この記事では、坪単価の設定を詳しく解説し、表示金額に隠された裏側を理解できるようになります。坪単価を安く抑える内容も紹介しているので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
1.注文住宅の坪単価とは?
注文住宅は、おもに坪単価で価格表示されています。たとえば、住宅建築メーカーのウェブサイトなどで「坪単価80万円」と表示されているのが分かりやすい例になります。坪単価は、建築面積の「1坪当たりの建築費用」を指しています。
「1坪当たりってどのくらいの面積?」となると思いますので、お答えすると1坪は約3.3㎡になります。実に中途半端な数字ですよね。専門的な計算になると、「1.82m×1.82m=約3.31㎡」になります。
建築に用いられる寸法の規格が「尺・寸」のため、それをミリに直した数字となります。頭が混乱しないように、わかりやすく身近なモノで大きさで例えると、和室の床に使用されている「畳2枚分が1坪」になります。ちなみに、畳1枚分の寸法は、1.82m×0.91m=約1.66㎡になります。
分かりやすくまとめると、
- 畳2枚分で1坪
- 1坪は3.3㎡
普段使わない数字や単位が建築業界では多く使用されているので、困惑される方も多いと思います。予備知識として、気になる方は覚えておくようにしましょう。
坪単価の計算方法
坪単価の計算方法は、「建築費用÷坪数」です。たとえば30坪で2100万円の注文住宅の場合は、「2400(万円)÷30(坪)=80万円(坪単価)」となります。先ほど、畳の面積で例えたので広さに実感が湧いてくると金額的に高いと思われるかも知れません。
建物費用の算出方法は?
上の説明で例に挙げていた、「2400万円」の建築費用は、どのように算出しているのか紹介していきましょう。この金額については、すでに建てた物件から導き出した金額をベースに算出したり、しっかりした計算の基に算出されています。
たとえば、ハウスメーカーでモデルハウスを建てたときに費用として掛かった金額がベースになっていたり、または建物の大きさを仮定した上で各費用をしっかり計算した結果を反映して建築費用を設定しています。
そのため、注文住宅の場合は各住宅メーカーで、ある程度の性能や使用する部材・設備機器がすでに決まっています。違うのは、お客様ごとの要望だけなのです。
なぜ注文住宅は坪単価で表示されているの?
注文住宅が坪単価で価格が表示されている理由をお伝えしましょう。
- 比較の簡易性
- 予算の目安化
- 伝統的な単位の活用
主にこの3つが注文住宅が坪単価で表示されている理由になります。要するに「わかりやすく比較できるように各社で表示する単位を統一している」ということになります。実際に統一するような決まりはありませんが、そこは暗黙の了解的な部分になっているのが実状です。
個人的には、費用を安く見せれる効果もあると考えています。たとえば、
「30坪で2400万円」
「坪単価80万円」
と価格を表示した場合にどちらの方が安く感じますか?建築の知識がない人ほど「坪単価80万円」の方を安く感じてしまう可能性が高いと思います。同じ内容を説明していても、数字が低いが故に勘違いを起こしてしまいやすいもの事実です。
2.注文住宅の坪単価は各社で考え方が違う
注文住宅の坪単価は各社で考え方が違います。どうゆうことが深堀していくと、「坪単価に含まれている部分」と「坪単価に含まれていない部分」が存在します。純粋に建物の建築費用だけで坪単価が見られている場合を例にしましょう。
純粋に建物の建築費用だけの場合は、諸費用や外構費用などが含まれていません。仮に建物本体工事が2100万円だったら、たとえばその他に「諸費用250万円」、「外構400万円」が掛かりますが、表示上は含ませていない見せ方になっています。
本来、全体費用としたら「本体工事2100(万円)+諸費用250(万円)+外構400(万円)=2750万円」になるはずです。しかし、2100万円としか公表していません。それには深い理由があり、不明な部分は計算に含ませていないからのです。
たとえば、土地が決まっていない場合は、上下水の引き込みなどが不明なため算出できません。また、外構も同様です。外構とは、塀や門、庭、植栽、アプローチ、車庫など、建物の周りのことをいい、横文字だと「エクステリア」と言われています。
注文住宅を建てる場所が確定しなければ、外構の仕様も決めることができないので、当然費用は算出することが出来ません。しかし、坪単価に範囲にどこまで含まれているのかは住宅施工会社によって異なるので、はじめに坪単価の範囲の確認をしておくことをオススメします。
3.注文住宅の坪単価は参考価格
これまでのお話で察しの良い方はすでに理解されている方もいらっしゃると思いますが、注文住宅の坪単価は参考価格と思ってもらった方がいいです。規格型住宅のような住宅建築会社が公表しているプランをそのまま再現するのなら別な話ですが、それでは注文住宅ではなくなってしまいます。
ご自身の好みやこだわりを反映させるわけですから、似た建物があったとしても、すべて同じ注文住宅は存在しないのです。そのため、多少なりと価格に違いが出てきてしまいます。
そのため、注文住宅の坪単価は「坪単価55万円~」と含みを持たせた価格で公表されているのが多くなっているのです。実際に住宅関係に携わっている私の意見としては、含みを持たせないとお客様に過度な期待をさせてしまうことも理解しています。
たとえば、「坪単価50万円で全部できます」と言い切ってしまったら、お客様はそれでご自身の注文住宅が出来上がると思ってしまいます。しかし、諸費用や外構費用は別に発生するとなったら、間違いなくお客様にがっかりされるのが想像できます。
そのため、含みを持たせた金額が公表価格となっていることを考えると、坪単価はあくまで参考価格と捉えておきましょう。その方が期待を裏切られることもなくなります。
坪単価では表示しない商品も
最近では、注文住宅以外にも規格型住宅を展開している住宅会社も増えてきており、「1980万円~」と紹介している企業サイトもよく見かける機会が増えました。規格型住宅は、すでに設計が完成している住宅になるので本体価格自体が大きく変化することがありません。
売る側と買う側の双方に時間を短縮できるメリットがあり、設計・プランニングに掛かる時間が大幅に削減できため一律の価格として表示されています。ただし、住宅設備をアップグレードしたり、新たに増やしたい場合は追加費用も増えるので、その点は勘違いがないように注意が必要です。
それ以上に、価格自体を分かりやすく表示させていることで、坪単価のようなややこしい計算を必要としない部分は買う側の視点で考えると非常に分かりやすい部分だと感じています。
相見積もりは必ず行いましょう
先の章で坪単価は、あくまで参考価格とお伝えしてきた流れでおすすめするのが「相見積もり」です。この記事を見ている方の多くは建築費用を安く抑えたいと考えていることでしょう。すこしでも坪単価を安くしたい、その解決策を探しているかもしれません。
それを解決するのが相見積もりです。一社からの見積りでは価格の適正は不明なままになり、費用の根拠が曖昧な状態です。ご自身を本当の意味で納得させることができるのも色々と調べたり、聞いてみた結果に導き出した答えがあるからです。
相見積もりは、時間が掛かることなので面倒と思われる方も多いですが、手間を惜しまず行ってみましょう。あまり大きな声では言えませんが、住宅建築会社を牽制する効果があるのも紛れもない事実です。
4.注文住宅の坪単価の注意点は付帯工事の範囲
特に注意しなければならないのは、付帯工事の範囲です。付帯工事の定義は「主たる建設工事を施工するために必要な他の従たる建設工事」と建築業法に記載されています。要するに「建物を建てるときに必要になる他の工事」が付帯工事です。
先程までは外構のみケースお伝えしていますが、この付帯工事の範囲が各社によってまちまちなのです。
詳しく伝えすると、
- 解体工事
- 仮設工事
- 屋外給排水工事
- 屋外電気工事
- 造成
- 整地工事
- 外構
- 造園工事
などが付帯工事となります。付帯工事の全てが坪単価から除外されている場合や一部の付帯工事が含まれている場合など、各社によって設定が本当に違います。たとえば、大手ハウスメーカーでは、付帯工事の全てが坪単価から除外されています。
明確は理由は定かではありませんが、建物本体として価格を明確にさせるためだと考えられます。しかし、知っている人なら良いですが知らない人が実際に話を聞きに行った場合は、「想像以上に高くなった」と感じることでしょう。
本体価格や坪単価ばかりを追ってしまうと、付帯工事を見落としがちになってしまうので注意しましょう。どうしても安く建てたいと思われる方もいらっしゃると思いますので、その際は「安く家が建つ?お金をかけない家づくり5選」も読んでみてください。
5.注文住宅の坪単価はお客様ごとに違くなる
注文住宅の坪単価はお客様ごとに微妙に違くなります。先にお伝えしていることの繰り返しになりますが、同じ建物は一つとしてありません。大きさは同じでも、デザイン・性能・設備の種類と数など同じように造られている建物はないのです。
ざっくりですが、数万~数十万の価格差は必ず生じてしまいます。たとえば、間取りをそのまま採用した場合でも、キッチンのグレードが違う場合は費用に増減が生じます。食洗器の有無だけで見ても、20~30万円は製品代として掛かるため、30坪の建物に反映すると6千円~1万円は変わってしまうのです。
話を戻すと、以上の理由から注文住宅の坪単価はお客様ごとに微妙に違う、ということです。
注文住宅の坪単価 今後の推移は?
参考までに、注文住宅の坪単価の今後の推移についてお伝えしていきましょう。注文住宅の坪単価は、ここ数年で急上昇しています。現在、ハウスメーカーの注文住宅の坪単価は、おおよその平均として「坪単価100万円」になると言われています。上昇している原因としては、
- 物価価格の高騰
- 建築資材高騰
- 木材価格の高止まり
- 高性能仕様住宅の需要増加
などが主な原因となっております。私が建築業界に入った約10年前は、大手ハウスメーカーで「坪単価80万円」と言われていたので、その頃と比較すると「20万円」も坪単価が高くなっています。
国土交通省が行った「令和6年住宅市場動向調査」でも、建築面積の詳細な記載はありませんが、注文住宅の平均値は「6188万円」で中央値は「5030万円」になっています。建築業界に関わっている私の想像を軽く越える結果で正直驚いています。
また、今後の推移としても2030年に「ZEH義務化」が開始になるため、高性能仕様の住宅を建てることが前提になってることから、住宅建築業界全体で建築費用が今よりも押し上がり、坪単価自体も当然高くなると考えられています。
6.注文住宅の坪単価 まとめ
注文住宅の坪単価について、詳しくご紹介しました。この記事をまとめると、
- 坪単価は各住宅メーカーで施工範囲に違いがある
- 坪単価は参考価格(建物に違いがでるため)
- 付帯工事に注意
- 坪単価は要望によって左右する
公表されている坪単価はあくま参考価格と思ってもらった方がいいのは間違いありません。また、付帯工事の範囲についても注意が必要です。厳密にいうと各社で範囲が全く異なります。そのため、ご自身を納得させるために相見積もりが重要なことも理解して頂けたと思います。
それらに注意した上で、ご自身にあった住宅メーカーを選ぶようにしましょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございます
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。この記事が皆様のお役にたてたら幸いです。読んでみて疑問に思ったことや解決しなかったことがありましたら、ぜひ教えてください。
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