「造作家具(ぞうさくかぐ)」という言葉をご存じでしょうか。部屋の間取りや使い方に合わせて オーダーメイドで設置する家具 のことです。壁面いっぱいに設ける本棚、キッチンと一体化したカウンター、階段下のスペースを活用したデスクなどがこれに当たります。特に注文住宅のように自由な設計が可能な住まいでは、造作家具を取り入れることで “住まい+家具”を一体でデザインする ことが可能です。この記事では、造作家具を採用することで得られるメリットを、わかりやすくお伝えしていきます。
1. 空間の有効活用ができる

1-1.無駄なスペースを減らす
注文住宅では、壁の出っ張りや梁の位置、窓の寸法などが建物によって異なります。既製の家具を持ち込むと、「あと数センチ小さければ収まるのに…」というケースやその逆で微妙なスキマが出来てしまうことが起こりがちです。一方、造作家具ならその場所にぴったり合った寸法で設計できるため、デッドスペースを最小限にできます。
1-2.使い勝手に応じた設計ができる
また、収納したい物や使う頻度に応じて、棚の高さ・奥行き・扉の有無などを自由に決めることができます。例えば、お子様のおもちゃ収納を低めの位置に設ける、将来は書籍収納に切り替えられる設計にしておくなど、ライフステージに応じた家具設計が可能です。
2. インテリアに統一感を出せる

2-1.素材・色・デザインを自由に選べる
既成の家具を複数組み合わせると、木材の色味や取手・脚の形状にばらつきが出ることがあります。造作家具なら、床材・建具・壁材と同じ素材・色味を使って家具をつくることができ、部屋全体に統一感をもたらせます。
2-2.建築と家具が一体化する設計が可能
造作家具は設計・施工段階から建物とともにプランニングできるため、「家具だけ別で買う」よりも、建築と家具が自然に溶け込んだ空間づくりが実現します。特に注文住宅ではこの利点がより活かせます。ハウスメーカーや工務店にもよりますが、ご自身の好みの造作家具のお店にオーダーできるメリットもあり、唯一無二のお気に入りを付けることが可能です。その場合は必ず前もって施工する会社へ相談しておきましょう。
3. 使いやすさ(動線・機能)を追求できる

3-1.“自分サイズ”で設計できる
例えばキッチン背面のカウンターなら、使いやすさや家族構成の観点から「手の届く高さによく使う調理器具を」や「十分な深さの引出し」などに対応した寸法設定が可能です。これにより、日々の作業がスムーズになります快適な暮らしができます。オリジナルの洗面台など、場所を限定して取り入れることも可能で、これだけでもぐっとオシャレ度が増します。
3-2.家事動線・生活動線に合わせた家具配置
洗面・ランドリー・使い勝手の良いカウンターなど、造作家具を動線上に組み込むことで、例えば「洗う → 干す → たたむ → しまう」を1カ所で完結させるようなレイアウトも可能です。こうした 生活導線を意識した家具設計は、既製品ではなかなか実現しづらいでしょう。
4. 安定・耐久性・長く使える設計
造作家具は職人の手によって現地で設置されることが多く、壁・床・天井としっかり納まりが出るため、グラつきが少なく安定感が高いです。さらに、既製家具に比べて材料を選べるため、集成材・無垢材などを用いた長寿命仕様にできる場合があります。また、家具が一体設計されているため倒れるリスクも低くなり、特に大きな本棚などを設置する際には安全面でもメリットがあります。
5. 長期的なコストパフォーマンスが良い
初期費用は既成家具に比べて高くなるケースがありますが、長い目で見ると次のようなメリットがあります。
- 家を建てた際に一緒に設置することで、別途家具を“買い足す”必要が減る
- スペースを効率的に使えるため、収納家具を追加購入する必要が少なくなる
- インテリアの質が上がり、住み替え・売却時にもプラス要素になる可能性がある
このように「最初にしっかりと設計し、長く使える家具をつくる」という観点では、コストパフォーマンスの面でも優れている選択肢と言えます。
6. “我が家らしさ”を実現できる

注文住宅の醍醐味は、自分たちの暮らし方や好みに合わせて設計できる点にあります。造作家具はまさにその延長線上にあり、以下のような暮らしを形にできます
- 趣味の収納スペース(コレクション棚、音響機器カウンターなど)
- 家族の成長やライフスタイルの変化を見据えた家具(可動棚、引き出しの位置を変えられる仕様)
- ペットと暮らす設計(ペット用カウンター・収納)
- テレワーク対応の造作カウンター・デスク
こうした “自分たちの暮らしにフィットした家具” を最初から設計することで、より満足度の高い住まいが実現します。
7. 注意点・デメリットも理解しておこう
造作家具が多くのメリットを持つ一方で、検討段階で把握しておきたい 注意点もあります。
- 費用が高め:完全オーダーメイド・設計・製作・施工が関わるため、既製家具と比べるとコストは上がる傾向にあります。
- 移動・変更が難しい:壁に固定する構造が一般的なので、家族構成や使い方が変わった場合にレイアウトを変更するのが難しいです。
- 打ち合わせ・設計に時間がかかる:設計段階で寸法・仕様・素材を決めるため、既製家具を置く手軽さとは違い、検討と打ち合わせに時間を要します。
- 現物を事前に確認しづらい:ショールームなどで見る既製品と違い完成形をイメージするのが難しく、思っていた仕上りと違うと感じることも。
対策としては、住宅のプランニング初期段階から造作家具の要望を建築会社や設計士に伝えておくこと、また家具の用途・収納物・将来の使い方を家族で話し合ってから設計に入ることがとても重要です。
まとめ
注文住宅で造作家具を取り入れることは、単に「家具を作る」だけではなく、暮らしをデザインすることです。これから注文住宅を建てるご予定なら、「どこにどのような造作家具を取り入れたいか」をぜひ早い段階から設計士・工務店と一緒に検討してみてください。家具も建物の一部として考えることで、あなたにとって暮らしの質が格段に変わるかもしれません!
最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければ関連記事「在宅ワーク時代の注文住宅!住まいの優先順位の新常識とは」も併せてご覧いただけますと幸いです。


