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太陽光発電を検討中なら知っておくべき「FIT制度」をサクっと解説!

太陽光パネルを使用して、発電をしている方なら知っているFIT制度。この基準は実は変わってきています。10年以上前に付けられた方は、売電も一定期間は高額だったでしょう。しかし一定期間を過ぎてしまうと、売電の買取価格が一気に引き下がります。この記事では、FIT制度とはどういうものなのか、太陽光発電のこれからをわかりやすくお伝えしていきます。

1.FIT制度とは?

FIT制度とは?

日本のエネルギー政策の一環として導入されたFIT「Feed-in Tariff(フィード・イン・タリフ):固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーの普及を促進するための制度です。発電事業者が再生可能エネルギーによって発電した電気を、国が定めた一定価格で電力会社が買い取る仕組みになっています。これにより、再生可能エネルギーの導入コストを抑え、発電事業者の収益を安定させる狙いがあります。FIT制度は2000年代初頭に欧州で広まり、日本では2012年に本格導入されました。それ以降、日本の太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー市場は急速に拡大しました。

2.FIT制度のメリット

再生可能エネルギーの普及を促進する

 

FIT制度 再生可能エネルギー

FIT制度の導入により、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーが急速に増加しました。特に、太陽光発電は日本全国で広がりを見せました。

エネルギー安定供給の貢献となる

FIT制度

国内のエネルギー自給率向上につながり、化石燃料依存度の低減にも寄与しています。

環境負荷の軽減

無垢材のフローリング

再生可能エネルギーの利用が増えることで、温室効果ガスの排出削減に貢献し、気候変動対策の一環として重要な役割を果たしています。

新たな産業の創出と雇用の拡大

再生可能エネルギー化によって太陽光発電や風力発電関連の産業が発展し、新たな雇用の創出につながっています。

3.FIT制度のデメリット

上がる電気代

普段の電気料金が上がる

FIT制度による買い取り価格は、国民が支払う「再エネ賦課金」として電気料金にしれっと上乗せされます。これにより、電気利用者の負担増になっています。
【再エネ賦課金とは?】

再エネ賦課金
再エネ賦課金は正式名称は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。太陽光発電や風力発電などの再エネを、もっと普及させるための国の制度で、再生可能エネルギー(再エネ)の普及を目的し、売電で買い取った再エネのコストの一部を電気料金に上乗せします。この内容としては、①電力会社が再エネで発電された電気を一定期間・一定価格で買い取ることを義務化 ②買い取った費用を国民に負担させる仕組み ③負担額は、国が定めた全国一律の単価に毎月の電気使用量を掛け合わせて算出するというもの。簡単に言うと皆様が利用している電気代金の中身には、再エネ賦課金がもれなく含まれており、ステルス的にこれからも電気代金も上がっていくということです。

市場にゆがみが生じる可能性

需要と供給のバランス

太陽光発電の買い取り価格が固定されているため、市場原理が働きにくくなり、適正な価格形成が難しくなる可能性があります。市場原理とは、物やサービスの価格が需要と供給のバランスで決まる仕組みのことを指します。つまり、欲しい人が多くて供給が少ないと価格は上がり、逆に欲しい人が少なくて供給が多いと価格は下がります。これが「需要と供給の法則」と呼ばれるものです。

大規模事業者が独占する恐れ

資金を持っている大手企業や投資家が大規模な太陽光などの発電事業を展開し、小規模な発電事業者の参入が難しい状況になっています。

景観や環境への影響が深刻

太陽光発電の設置が進むことで、森林伐採や土地利用の変化による環境問題が指摘されています。

4.FITと非FITの違いは何?

FIT(固定価格買取制度)と非FIT(ノンフィット)は、再生可能エネルギー発電の買取方法の違いです。

【FIT】

再生可能エネルギー発電事業者が発電した電力を、電力会社が一定期間、固定価格で買い取る制度
太陽光や風力、水力、地熱、バイオマス(生物由来の再生可能な有機性資源)などの再生可能エネルギー源を用いた発電に適用
FIT制度の認定を受けた電気は、一定の価格で電力会社に売電する仕組み

【非FIT】

・FIT制度の適用を受けていない発電設備や、その発電所でつくられた電気
・市場価格で売却や自家消費される
・非FIT太陽光発電やNon-FITとも呼ばれる
・非FIT発電所では、発電した電気を他の人が買い取る義務がないため、環境価値の付与を発電所や電力供給先にできる
FIT制度は再生可能エネルギーの普及を促進する目的で導入されましたが、国の方針もFIT法の縮小(補助金減)が進んでいます。

5.FIT制度の終了(卒FIT)とは?

卒FIT

卒FITとは、太陽光発電の固定買取価格制度(FIT制度)の買取期間が満了することをさします。固定期間が終わってしまうと買取価格がぐっと減ってしまうため、余剰電力の使い方を考えなければなりません。現在夜間電力も決して安くはないので次のような対策をとるようにしましょう。

【卒FIT後の注意点】

卒FIT後の注意点

・蓄電池を購入し、夜間や雨天時の自家消費や非常用電源として備えておく
・別の電力会社へ切り替え、売電する
・完全自家消費に切り替える(なるべく電気を買わない)
卒FIT後は太陽光発電の売電価格が自動的に下がることは知っていたとしてもそのまま放置せず、ライフスタイルなどに合わせて日中に電気をどう使うか検討しましょう。卒FIT後、太陽光発電で作った電気の買取価格は驚くほど下がるので、完全自家消費する方法を考えるのもひとつの方法です。

6.これからの展望

経済産業省資源エネルギー庁は2025年度以降の固定価格買取制度(FIT)における売電の買取価格を発表しました。太陽光発電の初期投資支援スキームを2026年度から導入し、買取価格を促進するため最初の4~5年間で高めに買取価格を設定します。

住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電の買取価格は以下のようになります

2025年度 15円/kWh
2026年度の最初の4年間 24円/kWh
2026年度の5~10年目 8.3円/kWh

産業用太陽光発電(10kW以上)についても同様の支援スキームを導入し、最初の5年間は19円/kWh、その後の15年間は8.3円/kWhとなります。また、FIP制度の基準価格も同額になります。

7.FIP制度とは

FIP制度(フィードインプレミアム制度)とは、再生可能エネルギー(再エネ)の発電事業者が、卸電力市場で売電した際に一定の補助金(プレミアム)が上乗せされる制度です。この目的としては、①再エネの普及促進で、自立化を後押し②電力市場の需給バランスに応じた電力供給の促進③電力市場での完全自由競争の実現が挙げられます。

7-1.FIP制度とFIT制度の違い

FIT制度(固定価格買取制度)では、電力市場の需要と供給のバランスに左右されず一定の価格で電気を買い取ってもらうことができていました。FIT制度は、太陽光発電のモデルをはじめ日本の再生可能エネルギー普及に大きく貢献しましたが、その弊害も実際浮き彫りになっています。今後は、より市場原理に則った制度の導入が求められています。FIP制度では、発電事業者が市場価格に基づいた電力取引を行いながら、一定のプレミアム額を受け取る形になります。これにより、再生可能エネルギーのさらなる普及と市場競争が健全になることが期待されています。このように、国の政策としては太陽光発電の普及促進と早期の投資回収を目指しています。また、卒FITを迎えた発電設備を有効に活用することも重要な課題です。電気の自家消費も含め、新しいビジネスモデルの発展が今後の鍵となってくることは間違いないでしょう。

まとめ

FIT制度

FIT制度は、日本の再生可能エネルギー普及を加速させた重要な政策でした。しかし、その一方で電気料金の上昇や市場のゆがみといった課題も生じています。今後はFIP制度への移行や卒FIT電力の活用を進め、より持続可能なエネルギー政策を築いていくことが求められています。再生可能エネルギーの普及と安定的な電力供給のバランスを取りながら、日本のエネルギー政策は次の段階へと進んでいくでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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