注文住宅でペットと暮らすことは、ペット好きな方なら理想とするところだと思います。ペットは大切な家族の一員ですから、家づくりの段階から人とペットの生活環境を共に考えることが、快適な暮らしを実現するポイントとなります。ここでは、ペットとの暮らしに役立つ注文住宅のアイデアを「犬編」「猫編」「ペット全般」に分けて紹介します。家づくりのヒントとしてぜひ参考にしてください。
1. 注文住宅でペットと暮らすには間取りから考えよう
ペットの種類や性格によって必要な環境は異なりますが、いずれの場合も家族みんなが快適に暮らせる間取りが大切です。犬小屋の設置や猫の放し飼いは現在あまりメジャーではなくなってきており、ペットとのかかわり方も変わってきています。そのため、動線、収納、素材選びなど細部に関しても配慮し、人間とペットのどちらにも居心地の良い空間を目指すことが大切です。具体的なアイデアを犬と猫それぞれに分けて順を追って解説していきます。
2. 犬と暮らす注文住宅の工夫
犬の室内飼い率が高い現在では、犬が安心してくつろげる空間、ごはん場所、トイレなどを固定スペースにしておく場所が必要となります。また犬にとってストレスを溜めないために日に数回のお散歩は欠かせません。毎日のことですから、注文住宅の間取りづくりに使いやすく快適な導線を盛り込みましょう。
2-1. お散歩グッズを置ける玄関
毎日のお散歩にはリードやエチケットビニール、タオルなどを入れたお散歩バッグなどさまざまなグッズが必要です。また、犬を病院やおでかけに連れていくにも、キャリーバッグやウォーターボトル、おやつ入れなどが必要です。さらにペットケアのブラッシングや爪切り、バリカンなど外でも使うペット用品は沢山あります。これらをまとめて収納できるペット専用スペースを玄関近くに確保しましょう。犬の手が届かないファミリー用のシューズクロークの上段に、扉付のペット用品収納棚をつくると便利です。
2-2. 足洗い場をつくる
外で泥遊びをした後や雨の日の散歩後には、汚れた足やうがいをさせる水場が必要になってきます。玄関から直結した導線の洗面所や玄関付近にパン付きの立水栓があれば、足洗いやうがいもスムーズです。また屋外にスロップシンクを設置すれば、水はねを気にせず使えるため便利です。
2-3. 犬が落ち着けるスペースの確保
犬は休む時に狭くて静かな場所を好むことが多いです。例えば、階段下収納をつくる部分を犬用のベッドスペースとして活用すれば、安心して過ごせる場所を提供できます。ケージを利用する方は、ケージ置き場も念頭に入れる必要があります。クッションやブランケットを敷いて、快適な空間を作ってあげましょう。また、犬が安心してごはんを食べることができるスペースとトイレスペースも別に必要です。理想としては、リビングから視界に入るところが良いでしょう。
2-4. 危険なものから守る工夫をする
好奇心旺盛な犬は、誤って危険なものを口に入れてしまうことがあります。中毒を引き起こす食品や薬など食べてはいけない危険なものは、犬の届かない高い扉付キャビネットや犬小物専用の引出収納を作って保管しておきましょう。犬がいたずらしても開かないような工夫が必要です。また、電化製品の位置や配線にも気を配りましょう。電源コードにはカバーをつけて噛み癖から守ることも大切です。
2-5. 犬の鳴き声を防ぐ防音対策
外の音や通行人に反応して吠える犬には、防音対策が効果的です。近隣や通行人の中には犬が苦手な方がいたりするので、そういったトラブルは未然に防いでおきたいことでしょう。内窓やトリプルガラスのサッシを付けたり、防音カーテンを取り入れることで、外の音が遮断され、犬の警戒心を和らげることができます。犬は誰かが来たと知らせるために吠えて教えてくれているつもりでも、通行人にずっと吠え続けると飼い主さんも困ってしまうでしょう。ですが、防犯のために吠えることは犬のお仕事でもありますよね。そこで関連記事の「注文住宅の防音対策とは?気になる効果と重要項目を6つ紹介。」も併せてお読みください。
2-6. 余裕があれば庭や屋上にお散歩スペースを
庭や屋上に走れる場所を設ける敷地内にミニドッグランのようなスペースを作ると、犬が安全に運動できる環境が整います。庭や屋上を利用して遊べるエリアを確保し、柵を設けて安心して遊ばせましょう。
3. 猫と暮らす注文住宅の工夫
猫と一緒に住むには、犬とは違う環境が必要です。猫の個性もあるので一概には言えませんが、ストレスを溜めない環境のために次のような工夫をしてみてください。
3-1. 猫が落ち着けるスペースを確保
猫は狭くて囲まれた空間や高い場所を好みますが、大切なのはひとりになれる癒しの空間。猫の様子を見ながらくつろげる場所を確保してあげましょう。クローゼットの中など、狭いところを好む猫が入ってこまる場所は、予め扉付にしておきましょう。キャットウォークやキャットステップを設置して、縦の空間を有効活用しながら猫の安心できる居場所を提供しましょう。
3-2. 猫のトイレの設置場所
猫のトイレは、静かで人目を避けられる場所に設置するのが理想的。食事スペースや寝床から十分に距離を取ることも重要です。設置場所の候補としては、リビングの隅、洗面所、廊下の角などに設置できるスペースを設けましょう。
3-3. キャットタワーや爪とぎ置き場
猫の本能を満たせるように、キャットタワーや爪とぎを設置しましょう。家具や壁紙が被害にあいづらくなると同時に、猫の運動不足やストレスを軽減することができます。それでもカーテンにぶら下がったり、障子や網戸に爪をたてたりして困ってしまうこともあるでしょうが、それもご愛敬です。
3-4. 猫にストレスを与えない空間づくり
猫は高いところが好きと思われがちですが、個性があります。広い吹抜けの空間などは慣れるまで時間がかかる子もいるでしょう。適度な囲いを設けた隠れ家のようなスペースを作って、リラックスできる環境を整えましょう。また、暖かな日差しがある窓辺は猫がお気に入りの場所となるので、くつろげるスペースを作ってあげても良いでしょう。
3-5. 猫窓や猫壁を活用
猫窓から入れる猫走りを作ってみるのもよいかもしれません。A様邸の施工事例もぜひご覧ください。天気の良い日に窓辺で暖かな日差しにまったりできるように工夫するのも良いでしょう。また、壁面を活用してキャットウォークや取り外し可能な猫壁(にゃんぺき)を設置すると、猫の好奇心を満たしつつ安全な遊び場を提供できます。
3-6. 猫専用の出入り口
完全室内飼いではない方には猫が家と外とを自由に行き来できるキャットドアの設置が便利です。間取りや家の周辺の環境によってどこに設置するかを考えましょう。昨今は猫の病気や事故を危惧して完全室内飼いを選択する方もいらっしゃいます。猫とのかかわり方次第ですので、便利に感じるなら設置を検討しましょう。
4. 注文住宅でペットと暮らすための工夫
注文住宅でペットと共に暮らすためには、間取りからというお話を最初にさせていただきました。ペットの性格やライフスタイルにあった間取りを考えるのは楽しいものです。その際にぜひ検討していただきたいペット用のスペースや対策をお伝えしていきます。
4-1.健康管理
どんな個体でも生きているペットはごはんを食べ、うんちやおしっこをします。トイレも常に快適にして、肥満や病気にならないように気を配らなければなりません。こまめにトイレ清掃をすることで、排泄物や吐しゃ物からペットの異変に早く気付くことができます。目の届くところにお気に入りの場所を作ってあげるとペットの様子を常に観察することができます。ペットと触れ合うグルーミングスペースを設けて、異変にすぐ気づける環境を整えましょう。
4-2. 掃除しやすく足腰に優しい床材
ペットが滑りにくく、足腰に優しい素材のフローリングやタイルカーペットを選びましょう。また、吐き戻しやトイレの失敗などで汚れても、掃除の簡単な床素材を選ぶことで日々の手間を軽減できます。フローリングはペットが滑りやすいので、ペットが歩くところにすべり止めマットをひくのもおすすめです。特に階段など段差があるところは滑る危険と足腰にかかる負担が大きいので、予め対策をしておきましょう。タイルカーペットは犬がホリホリするキズを防いでくれます。
4-3. 危険なものをペットから遠ざける
ペットが自由に出入りできないようにロックがかかる扉の検討もしてみてください。ペットに危険が及びそうなキッチンなどには行けない構造にしたり、急に外に飛び出さないような工夫も必要です。扉付の収納棚を高い位置に作るのも良いでしょう。口にすると中毒をおこしてしまうものや、知らずに噛むとケガをする恐れのあるもの、貴金属類の誤飲などはペットにとって命にかかわります。
4-4. ペットのにおい対策
ペットのブラッシングやシャンプーは頻度を決めて定期的に行いましょう。歯磨きや爪切り、耳掃除などのグルーミングをこまめにすることで、臭い対策や皮膚病、歯槽膿漏のリスクを抑えることができます。他にも消臭タイプの床材、防臭加工の壁紙材やカーテンも人気です。取替えやすく洗いやすいカバーをソファに、水洗いできるマットなども便利です。換気システムや空気清浄機を活用してこまめなトイレ掃除も心がけることで、ペット特有のにおいを最小限に抑えられます。芳香剤はペットに対して害になるものがあるので、ペット専用の消臭剤を使用しましょう。
4-5. お留守番中の安全対策
ペットカメラを設置して、留守中のペットの様子を確認できる環境を整えましょう。出先からもペットの様子が確認できるので安心です。また、いたずらを防ぐために、危険なものを片付けておくことが重要です。留守番用のおもちゃを用意するのもおすすめです。
4-6. ペットの毛対策
普段からブラッシングをこまめにしておきましょう。それでも季節ごとの毛の生え変わり時期は大変です。抜け毛の掃除を楽にするために、ロボット掃除機基地の場所を作って導入したり、静電気が起こりづらく毛が付きにくい衣類や素材を選ぶと良いでしょう。玄関にコロコロは必須かもしれませんね。空気清浄機の併用も有効です。
4-7. ペットが老いても介護しやすい環境を整えておく
生き物はいつか老いが来て天国へ旅立ちます。病気になったり老いがくることで、昼夜の感覚がなくなり夜中にずっと鳴いていたり、徘徊することもあるでしょう。排せつも元気な時と違い自分で調整できなくなります。ペットが快適と感じるようなスペースを2箇所ほど確保できるようにすると良いでしょう。また、ごはんが上手に食べれられなくなったり排泄物で汚れても大丈夫なように、掃除のしやすい床材やマットにしておくことが必要です。老いると体温調整も難しくなるため、空調もこまめにできる環境にしましょう。ペットを見守る環境を整えつつ、夜中の徘徊や夜鳴きに同居のご家族や近隣の方が困ることが減るよう、適切な防音対策も行いましょう。
まとめ
ペットと暮らす注文住宅の計画は、ペットの特性や習性に応じたアイデアを盛り込むことができるチャンスです。新しい環境なれることに時間がかかる子もいるでしょうが、お互いに心地よく過ごせるように工夫を重ねていってください。家族とペットのきもちに寄り添い、みんなが快適で過ごせる笑顔あふれる家づくりを目指しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。