依頼内容はリノベーション
依頼内容は、倉庫として使用していた建物のリノベーション。外観は、屋根と外壁の張替と玄関・窓の設置。内観は、キッチン、リビング、ダイニングにつくり替えをご希望でした。
課題
解体を進めていく中で、課題が浮き彫りになりました。予定では、構造上重要な柱はそのまま残して仕上げる予定でしたが筋交いがあらわれたのです。
リフォームやリノベーションではよくあることですが、建物が古いほど予期しない出来事がおこります。なぜなら、図面がなかったり、図面の記載が曖昧だからです。
今回のリノベーションでも筋交いがあらわれる、という予期しない出来事がありましたが、悪いことと考えず、良い方に変えられないかと考えました。
課題を解決
大事なのは課題を解決すること。そのままにするのは簡単です。しかし、それではお客様の満足にはつながりません。
だからこそ、悪いことを好転させられないか逆転の発想として起こっている物事を考え直しました。
お客様にご提案
私たちが最善の方法を思い付いてもお客様に納得してもらえなければ、エゴの押し付けになってしまいます。状況を説明し、理解してもらった上で今後の展開を提案していきます。
トラブルを回避する上でも、お客様とのやり取りはとても重要です。
トラブルが起きる原因は提案・説明不足
お客様とのトラブルが起こる原因の多くは提案・説明不足にあると思います。トラブルを経験したお客様からヒアリングすると「言われなかった」「勝手にやられた」などの声を多く聞かれます。
全部、施工側が悪いわけではありませんが、前提としてお客様は素人です。話をされても瞬時に理解できないことが多々あると感じています。特に建築用語は聞きなれない言葉が多く、戸惑うこともあるでしょう。
だとするならば、プロである私たちのような施工側はお客様への配慮は欠かせません。理解しやすい言葉と時間をかけて対話を行う必要があると思っています。
最善のご提案
予期しない出来事から導き出したのは、筋交いを残して化粧を施すことです。キッチンの手前の筋交いは胸の高さほどの袖壁にし、天板は筋交いを挟み込むように天板を設置しました。
もう片方の筋交いは、勉強用とティータイム用にテーブルとして使えるよう最適なサイズの天板を設置。高さもイスに腰かけたときにちょうど良い高さになるよう設定しました。
テーマは温もりと無機質の調和
出来上がりの全体のテーマとしては、温もりと無機質の調和です。温もりの面は床と天井の木質で表現し、無機質の面はアクセントクロスで表現しています。
雰囲気とデザイン性をワンランクあげるアクセントクロス
内装の統一感は白を基調にしたデザインにしています。そのため、壁の多くの範囲は白いクロスを使用し仕上げています。一般的にはそのまま白のクロスで仕上げていきますが、それでは物足りなさを感じてしまうもの事実です。
そこで採用したのが、アクセントクロスになります。キッチンが黒が主体になっている配色に合わせて、キッチンの前壁と後ろの壁に黒のクロスをアクセントとして使用しました。模様も小さいタイルをモチーフにした無機質なデザインにすることで、インダストリアル感を演出させています。
デザインのポイントは色を使い過ぎない
デザインのポイントとしては、色を使い過ぎないところです。色の数は少ない方が纏まりがあり、スッキリとした印象になります。逆に色の数が多すぎるとバランスを整えるのが難しくなります。
基本的には、2色が最も合わせ易いケースとなりますが、今回のリノベーションでは3色を使用しています。
各々の色の強さに合わせて、使用する面積や場所を考慮することでバランスが整い、デザイン性はアップします。
色の選定も大事見た目を良くする上で大事なのは、色の選定にも係わってきます。今回のリノベーションでは、白色、黒色、茶色とそれぞれに合わせやすい色を選定し、採用しています。
たとえば、白色を青色にしたら、どうでしょう。しっくりこない雰囲気になることが容易に想像できます。色にはそれぞれの相性があります。それぞれの色が活きる色になるように選定することが大事になります。
食器の収納棚はオーダーで造作
キッチンの背面にある食器の収納棚は、お客様からのオーダーでつくったものになります。上の棚板は好きな高さに調節できるよう棚柱を設置しています。後から棚を付け足して収納力を増やすことも可能です。
また、下の棚も同様に棚板の高さを調節できるようなつくりにしています。それにより、お客様が使い易い棚の配置にカスタマイズできる収納棚を実現しています。天板は、作業がしやすくなるよう幅と長さを吟味し、大きさを決めています。お弁当を詰めたり、食器を準備する際に重宝する大きさとなっています。
お客様の満足のため
建築業界に身を置いて感じていることは、決して費用が安くないことです。リノベーションだとしても、それは変わりません。だとしたら、私たちがお客様に一番感じて欲しいことは満足感です。
「リノベーションして良かった」「リノベーションを頼んで良かった」とお客様に言ってもらえることに尽きます。どんなに大変なことがあっても、また頑張ろうという気持ちが蘇ります。だからこそ、お客様の想いを表現できるように一つ一つ丁寧に最善を尽くして取り組んでいます。