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注文住宅の豆知識

中古物件の祠(ほこら)!撤去しても大丈夫?

リフォームやリノベーションをする際、購入した中古物件に祠(ほこら)が見つかることがあります。祠といってもそれなりの大きさのものや手のひらほどの小さなものまで様々ですが、あった場合はどうしたら良いか迷われると思います。今回は「購入した物件の敷地内にある祠」の取り扱いについてお伝えしていきます。

1.取引相手によって異なる中古物件の祠や残置物

中古物件の祠

1-1.不動産業者から購入する物件は祠を撤去してくれる

まず不動産業者から紹介される物件について祠や井戸が残っている場合は、業者の方で「撤去しておきますね」といわれるのが通常です。きちんと芯抜き(魂抜き)をし、物件案内の前や後に処分してくれます。これをやってくれない業者さんもたまにいるそうですのでご注意ください。祠や井戸についてはネガティブな内容ととらえる方もいらっしゃるので、トラブルのないように予めマイナスとなりうる要素は出来るだけ取り除いてくれるのです。不動産会社はきちんと上下水道が引かれているか、マイナス要素の残地物が残っていないかの確認を適切に行うはずなので、信頼できる不動産会社を選ぶことも大切です。万一説明がなかった場合は、不動産業者へ連絡をし、撤去してもらうなどの対策をとりましょう。

1-2.個人間で他人から売買した物件の祠の場合

個人間で売買した場合、祠や井戸、石碑がそのまま残されている場合があります。祠は屋敷神さまと呼ばれるように、家や住む人たちを守ってくれるものですので決して悪いものではありません。但し、個人間で購入された場合、由来の分からない祠があることは心理的によくない印象を受けることがあります。気になさらない方は家の守り神とされてきた祠なので、そのままお祀りされると良いでしょう。また、石碑については何らかの所以で記念のもや鎮めるものであったりします。ご自身で持て余すときは安易に撤去せず、由来をご近隣の方に聞いてみたりした方が良いでしょう。処分や移転もお住まいの地域の市区長村か神社やお寺に相談してみましょう。

1-3.親族から譲り受けた物件の祠の場合

中古物件の祠

ご親族様が大切にしてきた祠の場合は、できればそのまま引き継いでお祀りすると良いでしょう。由来がしっかりしているもの、よくわからないものなどいろいろとあると思いますが、良い神様なので大切にされてください。もしも、更地にして家を建て直すのであれば、移動したり処分も見当することになるでしょう。その際も神社などにご相談して適切に処理を行いましょう。

2.そもそも祠とは

中古物件の祠
諸説ありますが家にある祠は両手くらいの大きさで屋敷神とよばれ、読んで字の如くその屋敷を守る神様です。祖先信仰に由来すると考えられており、稲荷、神明、秋葉、祇園、八幡などの神をお招きし、それらが祭神とされたそうです。屋敷神を祀る祠は、石造か木造の小祠であることが多く、いにしえから丁寧に祭祀されている場合は末社程度の規模の社殿を建てられ、鳥居までも持つこともあります。祠の中に祀ってあるご神体は様々で石の玉や鏡、神像、幣串、木札、神札などが祀られています。

2-1.お稲荷さんとは

中古物件の祠

祠は宮城県では「お稲荷さん」と一般的に呼ばれており、信仰を集めていますが祀られているのは、
・宇迦之御魂神(うかのみたま)
・豊宇気毘売神(とようけびめ)
・保食神(うけもちのかみ)
・荼枳尼天(だきにてん)
・大宜都比売神(おおげつひめ)
といった神様たちであり、食べ物と豊作をもたらす神様とされています。お稲荷さんというと狐の神様というイメージがありますが、実際は人間の姿をしています。その神々が遣わしてくださっているのが、白いキツネの姿のお稲荷さんというわけです。ですので、お揚げをお供えにしたりすることもあります。こうした神様を自宅の敷地でお祀りすることにより、家の繁栄を願うというのが祠を設置する主な理由です。ちなみに民間信仰として狐は犬に狩られるというイメージから、犬を嫌うとされていました。狐も同じ犬族ですが、昔の考え方として犬を飼っている方は、お稲荷さんに近づけないほうが良いとされているようです。

2-2.祠の神様はどこから連れてきたの?

中古物件の祠

全国には多くのお稲荷さんが存在するようですが、その多くの総本山となるのが京都市にある伏見稲荷大社だと言われています。そこから分社された稲荷社が全国に存在し、更に枝分かれしたものが個人宅にあるお稲荷さんとなっています。

3.祠の定義について

中古物件の祠

祠は家を守ってきてくれた神様ですので、決して怖いものではなく寧ろありがたいものです。ただの残地物と同じと考えないで丁寧に扱うようにしましょう。そのままお祀りするのであれば、定期的に掃除をしてお供えをして祈りましょう。どうしても処分などをする場合も神職の方にきちんと芯抜きをしてもらいましょう。巷にはいろいろな話がありますが、必要以上に怖がったりする必要はありません。

3-1.祠に対する行政の見解

宮城県の見解:宮城県での見解としては、基本的に所有者の方にゆだねられているということです。但し、地域で管理されている古くからある祠などの撤去は、名義上自分の土地だとしても共有のものとみなされる場合があります。移設や撤去などは民事のもめごとへ発展する恐れがあるので、祠の由来を知っている地元の方々の意見を仰ぐと良いでしょう。

石巻市の見解:石巻市では基本的にそいういったことに関する見解はないとのことです。特にガイドライン等も設けられていません。

3-2.地域ごとで見解が違う場合がある

今回は宮城県と石巻市の見解を調べましたが、気になる方は購入された土地に係る管轄へ問い合わせてみると良いかもしれません。

4.祠は実際どう扱ったらいい?

中古物件にある祠

敷地内の祠の扱いは、既に述べたことをまとめると基本的に3つとなります。

①そのまま屋敷神としてお祀りする

②移動していただく

③撤去する

それぞれの方法についてお伝えしていきましょう。

 

4-1.そのまま屋敷神としてお祀りする

中古物件の祠

その家を代々守ってきてくれた屋敷神様を、引き続きお祀りするだけです。親族から譲りうけたものでしたら「これから宜しくお願いします」という気持ちを伝えましょう。たまに綺麗に掃除し、お供えをして家の安全を祈願すると良いでしょう。

4-2.移動していただく

中古物件の祠

敷地内にあることが困る場合は、神様にお引越ししていただく方法もあります。場合によりますが、神主さんにお願いして魂抜きをしてもらい、業者で移転させた後に再度魂を入れてもらうことになるようです。

4-3.撤去する

中古物件の祠

この場合も撤去前に神主さんにお願いしましょう。神主さんへお願いして芯抜き(魂抜き)をしていただいた後、きちんとした手順で処分しましょう。できれば稲荷神社を調べて相談するのが良いとされています。

5.そもそも祠のある家は購入しない

中古物件の祠

地方の古い家屋にありがちですが、見落としていた祠が稀にでてくることがあります。また、古い住宅を解体してみたら古井戸やよくわからないものが出てきて処分にお金もかかり大変だったということもあります。不動産業者は上下水道の確認はもちろん、家の残置物などもきちんと処分してくれます。ですから、もしそういったものが心理的に嫌だと感じる方は、長い間放置されていた古い物件の購入は避けた方が無難でしょう。また、祠を処分するとバチが当たったり祟りがあるのではないかと心配な方も、こういった物件は避けましょう。購入する際は下見をしっかりすることがポイントになります。住居の中だけではなく、外観もしっかり見ることが大切です。親族から受け継いだ土地であれば、ある程度由来が分かるので安心なこともあるでしょう。しかし、全くの他人が住んでいたであろう家を個人間で購入するにあたっては、慎重すぎるくらいが良いでしょう。

まとめ

祠(ほこら)は家を守る神様が宿る場所です。今後祀っていくにしても処分するにしても大切に扱わなければなりません。処分する理由としては宗教上の理由や由縁がわからないなどいろいろとあると思います。もしこのまま祀っていくのでしたら、どうぞ大切になさってください。日本の古き良き文化ものこしつつ新しいスタイルも取り込んで、より快適な暮らしを目指しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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