毎年のように更新される猛暑日。近年は35℃を超える日も珍しくなく、エアコンなしでは危険な暑さになっています。一方で、気になるのが毎月の電気代です。「少しでも節約したい」「でも暑さは我慢したくない」そう考える方も多いのではないでしょうか。しかし、夏の電気代を抑えるために必要なのは、無理にエアコンの設定温度を上げることではありません。実は、電気代に大きく影響しているのは、「室温」「湿度」「日射(太陽の熱)」「住宅性能」など、さまざまな要素です。今回は、すぐに実践できる節約方法から、見落とされがちな住まいの性能まで詳しくお伝えしていきます。
1.夏の電気代を上げているのは「気温」よりも「熱」

真夏になると「外が暑いから家の中も暑い」と考えがちです。もちろん間違いではありませんが、実際には家の中を暑くしている大きな原因は「熱の侵入」です。
特に影響が大きいのが開口部と言われる「窓」です。「夏の熱の約7割は窓から入る」と言われますが、これは国の古いデータを基にした参考値で、住宅性能によって大きく変わります。一般的に夏場に室内へ侵入する熱は、窓の影響が大きいとされています。さらに、屋根・外壁・換気による外気などからも熱は入り続けています。
つまりエアコンは、室内の空気を冷やすだけでなく、家の中へ入ってくる熱とも戦い続けているのです。そのため、設定温度を気にする前に「熱を入れない工夫」をすることが重要になります。
2.設定温度よりも重要な「湿度」

夏の快適性を左右するのは気温だけではありません。
例えば同じ27℃でも、
- 湿度50%
- 湿度70%
では体感温度が大きく異なります。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、身体に熱がこもりやすくなります。その結果、実際の温度以上に暑く感じてしまいます。逆に湿度が適切に下がっていると、気温が多少高くても快適に感じることがあります。夏は温度だけでなく、湿度にも目を向けることが大切です。更に、家の中での熱中症リスクを防ぐためにも、いつも目の届くところに温湿度計を置きましょう。常にチェックする習慣をつけるとが大切です。
3.エアコンは「自動運転」が効率的
電気代を節約しようとして、風量を弱に固定している方もいるかもしれません。しかし、多くのエアコンは自動運転の方が効率よく運転できるよう設計されています。室温が高いうちはしっかり運転し、設定温度に近づくと自動で出力を抑えるためです。無理に弱風固定にするより、自動運転を活用した方が結果的に快適で効率的な場合があります。
4.冷房時の風向きは下向きにしない

意外と見落とされがちなのが風向きです。冷たい空気は重いため自然に下へ降ります。そのため冷房時に風を下向きにすると、床ばかり冷えてしまい、部屋全体が冷えにくくなることがあります。冷房時は水平、またはやや上向きを目安にすると空気が循環しやすくなります。
5.サーキュレーターは節約効果が高い

比較的少ない電力で大きな効果が期待できるのがサーキュレーターです。エアコンだけでは冷気が床付近にたまりやすくなります。サーキュレーターで空気を循環させることで温度ムラが減り、体感温度も下がります。エアコンの設定温度を無理に下げる必要がなくなるため、節約にもつながります。
6.実は「除湿の方が安い」とは限らない
「冷房より除湿の方が節約になる」と聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし、これは機種によって異なります。特に再熱除湿機能を搭載したエアコンは、一度冷やした空気を再び温める仕組みのため、冷房運転より電力を消費する場合があります。除湿運転が必ず安いとは限らないため、取扱説明書やメーカー情報を確認しておくと安心です。
7.窓の日射対策は効果大

前述の通り、一般的に、夏場に室内へ侵入する熱は窓の影響が大きいとされています。エアコンの負担を減らすためには、窓から入る熱を抑えることが非常に重要です。効果的な方法としては、すだれ、外付けシェード、遮熱フィルムなどがあります。また、自然でエコな省エネ対策として、ゴーヤなどを利用したグリーンカーテンも効果があると言われています。ポイントは窓の外側で日差しを遮ることです。カーテンは室内側にあるため、熱が窓を通過した後に遮ることになります。そのため、外側で日射を防ぐ方が効率的なのです。
7-1.「窓性能」で差が出る
窓からの熱の出入りを少なくするためには、内窓設置が効果的です。既存の窓との間に空気の層を作り出すことで熱や冷気を遮断する役割があります。「窓」を二重にすることで断熱性能が上がり、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるようになります。これにより、エアコンなどの消費電力を抑えることができるため、光熱費も削減できます。
8.昔ながらの知恵は今でも有効

最近ではあまり見かけなくなりましたが、すだれやよしず、打ち水、朝夕の換気などは理にかなった暑さ対策です。例えば打ち水は、水が蒸発する際に周囲の熱を奪うため、体感温度の低下につながります。また、エアコンの室外機にはかけないように、周辺に打ち水をするのもエアコンの効きに多少効果があるようです。
9.留守中のエアコンはどうする?
「つけっぱなしの方が安い」という話を耳にすることがあります。確かに短時間の外出であれば、消して再起動するより効率が良い場合があります。しかし、外出時間や住宅性能、外気温によって変わりますが、数時間以上家を空ける場合は停止した方が省エネになるケースが多いとされています。ペットを飼っていたり植物の温度管理などもありますし、24時間運転のほうが良いという方もいらっしゃいます。
それぞれの生活スタイルに合わせて使い分けると良いでしょう。現在は、スマートリモコンの導入やスマホ対応エアコンを活用して、帰宅前に部屋を快適な温度にしておくことができます。もし家に帰ってからエアコンをつける場合は、2階にこもった熱を換気してからにしましょう。エアコンの効きが早くなり、電気代もちょっとお得になります。
10.寝苦しい夜は寝具も見直す

夜の快適性は室温だけで決まりません。「寝具内の湿度」「身体と寝具の接触面の熱」も大きく影響します。通気性の良い接触冷感寝具や除湿機能を利用しすると、エアコンの設定温度を大きく下げなくても快適に眠りやすくなります。
11.これらの工夫でどれくらい節約できる?

住まいの条件や家族構成によって異なりますが、
- 日射対策
- サーキュレーター活用
- フィルター清掃
- 湿度管理
などを組み合わせることで、冷房にかかる電力消費を抑える効果が期待できます。ただし、節約効果は住宅の性能や生活スタイルによって大きく変わるため、「必ず○%削減できる」とは言えません。大切なのは、エアコンだけに頼るのではなく、家全体の熱環境を改善することです。
12.実は一番差が出るのは住宅性能

ここまで紹介した工夫はどの住宅でも取り入れることができます。しかし、それでも暑さを感じやすい住宅と、比較的快適に過ごせる住宅があります。その違いの一つが断熱性能です。
断熱性能が高い住宅は、
- 外の熱が室内へ伝わりにくい
- 冷房で冷やした空気が逃げにくい
という特徴があります。反対に断熱性能が低い住宅では、エアコンで冷やしても外から熱が入り続けるため、冷房負荷が大きくなります。また、断熱性能だけでなく、窓の性能、日射遮蔽の計画、気密性能なども夏の快適性に大きく関係しています。高断熱住宅は「冬暖かい家」というイメージを持たれがちですが、本来は夏の暑さ対策にも効果を発揮するものです。
12-1なぜ2階は暑くなるのか
夏に「1階は涼しいのに2階だけ暑い」という声は少なくありません。
その主な原因は、
- 屋根からの熱の影響
- 吹き抜けによる熱だまり
- 窓からの日射
- 断熱不足
です。
特に屋根面は真夏になると表面温度が60~80℃近くになることもあり、その熱が天井を通じて室内へ伝わります。屋根や天井の断熱性能が十分でない住宅では、2階のエアコンが効きにくく感じられることがあります。
まとめ
夏の電気代を抑えるために大切なのは、エアコンを我慢することではありません。
- 湿度を適切に管理する
- 空気を循環させる
- 窓からの日射を防ぐ
- エアコンを効率よく使う
夏の快適性はエアコンの性能だけで決まるものではありません。住まいの断熱性能や窓性能、日射対策を含めた「家全体の性能」が大きく関わっています。これから住まいを検討する方はもちろん、今のお住まいの暑さに悩んでいる方も、一度住宅性能という視点から見直してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければ関連記事「2階が暑い家、何が違う?答えは“屋根と設計”」も併せてご覧いただけますと幸いです。


