住宅ローンを検討する際、民間の住宅ローンの他にフラット35の利用も視野に入れる方も多いでしょう。健康上の理由で「団信」に加入できない人や、勤続年数・雇用形態・自営業の方でもローン審査が緩やかで、自宅の購入資金として広く間口を開けてくれているところが特徴です。今回は一般的なフラット35買取型の「団信」にポイントを置いてお伝えしていきます。
記事の目次
1. 団体信用生命保険(団信)とは?
2. フラット35とは?
3. フラット35 団信の特徴
3-1. フラット35 団信の種類
3-2. フラット35 団信が任意である理由
3-3. フラット35の団信 保障の適用開始日
4. フラット35 団信に加入しない場合
4-1. フラット35 団信に加入しないメリット
4-2. フラット35 団信に加入しないデメリット
4-3. フラット35 団信はずしてもほんとに大丈夫?
5.フラット35 団信の金利加算はどのくらい?
6. まとめ
以上がこの記事の目次となります。それでは順番に見ていきましょう。
1. 団体信用生命保険(団信)とは?
「団体信用生命保険(団信)」とは、住宅ローンの借り手が死亡や高度障害状態になった場合に、保険金によってローンの残債が支払われる保険のことです。これにより、家族にローン返済の負担がかからない仕組みとなっています。多くの住宅ローンでは団信の加入が義務付けられており、借り手に万が一のことがあっても、残された家族が住まいを失わずに済むように保障されています。ここで注意しなければならないのは、一般の生命保険ではないということです。掛け金によって変わりますが、契約者が死亡した場合は住宅ローンの残債がなくなるという保険であり、ご家族に保険金が入るわけではありません。また、団体信用生命保険(団信)の保険料や特約料は、年末調整や確定申告の所得控除(生命保険料控除)の対象外となります。
2. フラット35とは?
まず、フラット35はどういったものなのかについて、少しだけ触れていきましょう。「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して提供する住宅ローンで、団信は借入額に含まれ、最長35年間の長期固定金利を特徴としています。金利は民間の住宅ローンより高めですが、返済額が変わらないため家計管理がしやすく、長期の返済計画が立てやすい点が人気です。民間の住宅ローンと比べて勤続年数や年収などの審査がゆるめなのも特徴です。住宅ローンの審査に不安がある人や自営業の方でも、条件を満たせば利用できる可能性があります。
3. フラット35 団信の特徴
※1新機構団信フラット35は団信付きの住宅ローンですが、団信の加入は任意であることが大きな特徴です。団信を付けないこともできますし、3大疾病付の団信を選ぶこともできます。(新機構団信とは、平成29年10月1日以後にリニューアルされたものです。これによって、月々のフラット35の借入額支払いに団信加入に必要な費用が含まれるようになりました。)
3-1. フラット35 団信の種類
フラット35で利用できる団信には、以下のような種類があります。
【新機構団信】(死亡・高度障害保障)
死亡保障:契約者が死亡したとき
身体障害保障:契約者が身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたときローン残高が完済されます。
【新3大疾病付機構団信】:三大疾病(がん、心筋梗塞、脳卒中)になった場合
死亡保障:契約者が死亡したとき
身体障害保障:契約者が身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき
3大疾病保障:契約者が3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が原因で一定の要件に該当したとき介護保障:契約者が公的介護保険制度に定める要介護2以上または所定の要介護状態に該当したときローン残高が完済されます。
3-2. フラット35 団信が任意である理由
フラット35では、団信の加入が任意とされています。これは、団信に加入しなくてもローンの審査や借り入れが可能であるという点で、借り手に柔軟な選択肢を提供するためです。この仕組みによって、健康状態が理由で民間の住宅ローンやフラット35で団信が通らなかった人も利用しやすくなっています。これらのことから、健康リスクを理由に住宅購入をあきらめる必要がなくなり、幅広い利用者が安心して住宅ローンを利用できるようになっています。
3-3. フラット35の団信 保障の適用開始日
フラット35の団信の保障の適用開始日は、住宅ローン実行日からとなります。但し免責事項もありますので、詳しくは団体信用生命保険の契約概要(詳細版)で必ずご確認ください。
4. フラット35の団信に加入しない場合
フラット35の団信は任意のため、加入せずにローンを組むことも可能です。次の項目で、団信に加入しない場合のメリットとデメリットについてお伝えしていきます。
4-1. フラット35 団信に加入しないメリット
・保険料分を支払わなくて良い:団信分の金利を差し引くことになるので、月々の支払額が軽減されます。住宅ローンの負担が減ることになり、実質借入額も少し抑えることができます。
・健康状態による制約がない:団信は加入時に健康状態の審査がありますが、フラット35では団信加入が任意となっています。これにより、健康状態に不安がある人でも一定の基準を満たせばローンを組むことが可能です。ですので、持病や過去に病気を経験したことがある方でも住宅ローンが利用しやすくなります。
4-2. フラット35 団信に加入しないデメリット
・万が一のリスクが残る:契約者に万が一のことがあった場合、ローン残高はそのまま残るため、家族がその後の返済を担うことになります。特に長期間のローン返済を予定している場合、家族の経済的負担が大きくなるリスクがあります。住宅ローンが払えなくなった場合、最終的には住宅が差し押さえられ競売にかけられます。また、競売になっても住宅ローン自体が消えるわけではないため、一切を処分して自己破産になる可能性もあります。
・万が一の場合の生活の安定に不安:住宅ローンの返済は家計に大きな影響を与えるため、団信がない場合には家族の生活が不安定になる可能性があります。家族の将来の生活を守る観点から、団信は重要な保障となり得ます。
・疾病保障がない:3大疾病保障付き団信などの特約を利用しないと、3大疾病の病気で働けなくなった場合の保障はもちろん得られません。もし病気などで収入が途絶えた場合、住宅ローンの返済が困難になる可能性があります。
4-3. フラット35 団信はずしてもほんとに大丈夫?
・フラット35は長期固定金利で将来の金利変動リスクがない点が大きな特徴で、家計管理のしやすさが魅力の住宅ローンです。しかし、「団信への加入は任意」という言葉だけがひとり歩きして、持病があっても収入が不安定でも住宅ローンを組めると期待を抱いてしまうのは時期早々です。もちろん団信へ加入できない事情がある方には、フラット35は使いやすい住宅ローンです。ですが、現在の新機構団信フラット35は団信が標準仕様です。団信に加入できない事情があることを除き、利率を削るためだけの理由で団信をはずすことは、慎重に判断しなければなりません。
5.フラット35 団信の金利加算はどのくらい?
前項でも述べましたが、新機構団信フラット35は基本的に団信付きの住宅ローンのため、団信加入に必要な費用が含まれています。団信をつけない場合は融資金利-0.2%となります。また、3大疾病付機構団信に加入すると、融資金利は新機構団信付きの融資金利に0.24%が加算されます。詳しくは、住宅金融支援機構のHPで確認してくださいね。
6. まとめ
団信は、契約者様にもしものことがあった場合、残された家族に家を残すことができる重要な保障です。特に住宅ローンは長期にわたるものが多く、全ての人に言えることですが現在の健康状態がそのまま続く保証はありません。民間の生命保険でも払いきれない金額の買い物をすることになるのです。家族や自身の将来を見据え、納得のいく住宅ローンの選択に役立てていただければ幸いです。よろしければ「注文住宅を建てるには何が必要?注文住宅の費用シミュレーションを解説!」も併せてお読みください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。