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家のカタチには、理由がある。#01昔の家には、なぜ廊下があった?

「昔の日本の家」というと、畳の部屋や障子、縁側、長い廊下を思い浮かべる方が多いと思います。ただ、すべての昔の家に廊下があったわけではないようです。大名屋敷のような大きな建物では廊下が使われていたとされていますが、江戸時代の町家や農家、長屋には、廊下をほとんど設けない家もあったと言われています。この違いには、住む人の身分や仕事、家族の人数、敷地の広さが関わっていたようです。今回は廊下を手がかりに、日本の住まいがどう変わってきたのかを順にお伝えしていきます。

1. 昔の家は一つの建物ではない

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現在の住宅は、一つの建物の中に居間や寝室、水回りが収まっていて、玄関から廊下を通って各部屋へ入る間取りが一般的です。平安時代の貴族の住まいである寝殿造は、この形とは違っていたようです。中央に寝殿を置き、その周りに対屋(たいのや)などの複数の建物を建て、それらをつないでいたのが「渡殿(わたどの)」と呼ばれる廊下だったと言われています。当時の廊下は、部屋から部屋へ移るための通路というより、別々に建てた建物を結ぶためのものだったようです。

2. 部屋を分ける考え方は書院造から

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室町時代から安土桃山時代にかけて、書院造が発達したと言われています。襖や障子を使って大きな空間を仕切り、いくつかの部屋として使う方式です。主人が使う部屋、客を迎える部屋、家族が過ごす部屋、使用人が働く部屋というように、用途ごとに場所が決まっていったと考えられています。部屋の数が増えれば、部屋どうしをつなぐ廊下の役割も大きくなっていったのでしょう。

3. 大名屋敷の廊下は人を区切るため

 

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江戸時代の大名屋敷には、主人の家族だけでなく、家臣や使用人、来客が出入りしていたとされています。身分によって入れる場所が決まっていたため、人の動きを整理する必要があったと考えられます。客を玄関から客間へ案内するときには家族の居場所を通らずに済むようにし、使用人は主人や客のいる場所を避けて仕事に向かえるようにしていたようです。こうした動線の区別に、廊下が使われていたと言われています。

4. 庶民の家には廊下が少なかった

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江戸時代の町家や農家、長屋では、廊下のない家は珍しくなかったと言われています。大きな理由は敷地の狭さだったようで、廊下を一本通せば、その分だけ部屋が狭くなってしまうからだと考えられます。

たとえば江戸の裏長屋は、間口が九尺(約2.7m)、奥行きが二間(約3.6m)ほどで、「九尺二間」と呼ばれていたそうです。入口の土間と四畳半ほどの部屋があるだけの広さだったとされており、廊下を置く余地はなかったと思われます。京都の町家は間口が狭く奥へ長い造りで、「通り庭」と呼ばれる土間が玄関から奥まで続いていたと言われています。この土間が通路の役目を果たしていたため、別に廊下を設ける必要がなかったのでしょう。廊下がないことは必ずしも不便を意味せず、その家の広さと暮らし方に、廊下が合わなかったのだと考えられます。

5. 暮らし方による廊下の必要性

 

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大名屋敷のような大きな屋敷では、部屋数が多く、来客や使用人がいて、身分ごとに使う場所が異なっていたようです。家族の生活と接客を分ける必要もあったため、廊下が欠かせなかったと考えられます。一方、庶民の家は小さく、家族が同じ空間で過ごし、仕事の場と生活の場も近くにあったと言われています。限られた面積を使い切るには、部屋どうしを直接つなぐほうが合っていたのかもしれません。廊下の有無は、建築様式の違いである以前に、その家でどんな暮らしをしていたかの違いだったのではないでしょうか。

6. 人との距離を調整する役割

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今の私たちは、人目を避けたいときに壁やドアを思い浮かべます。昔の家では、部屋の配置や襖、障子、廊下を組み合わせて、人との距離を調整していたと考えられます。廊下があれば、寝室へ行くために居間を横切る必要がなく、客間への案内も家族の生活の場を通らずにできたのでしょう。廊下には、人をつなぐ働きと人を分ける働きの両方があったと言えそうです。

7. 今の家では廊下が減っている

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最近は、廊下を減らす間取りが増えています。廊下は移動のための場所であり、そこで食事をしたりくつろいだり、物をしまったりすることはできないためです。たとえば廊下が3畳分あれば、その面積を収納に回すこともできます。また、現代の住宅は大名屋敷ほど客を迎える空間を必要としないので、家族が集まる居間や食事室、台所を中心に置き、そこから各部屋へ行く間取りが多くなりました。

8. 廊下を減らしたいときは?

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廊下を減らす場合は

  • 寝室が居間から見えないか
  • トイレや洗面所が来客から見えないか
  • 家族が一人で過ごせる場所があるか

といった点を確かめる必要があります。現在は、部屋の配置や建具、視線の通り方、階段の位置、収納の置き方、家族用と来客用の動線を組み合わせて、これらの点に対応しています。昔は廊下で人との距離を調整していたようですが、今は間取り全体で調整していると言えます。

9. 廊下の少ない家は昔からあった

廊下を減らす発想は、現代に始まったものではないようです。江戸の長屋や町家も、限られた土地と材料を無駄なく使うために廊下を省いていたと考えられます。現代では、面積の有効活用に加えて、家事の動線や家族の顔が見える間取りを考えて廊下を減らします。目的は違っても、暮らし方に合わせて間取りが決まるという点は、昔も今も変わらないのかもしれません。

10. 結論、廊下は必要ない?

廊下を減らすと、限られた面積を有効に使えます。ただ、家族がそれぞれ落ち着いて過ごすには、ある程度の距離や仕切りが必要になることもあります。廊下が必要かどうかは、家族の人数や生活の時間帯、仕事の仕方によって変わります。大名屋敷に廊下があったのも、廊下の少ない家があるのも、そこに暮らす人それぞれの事情があったからなのでしょう。間取りを見るときには、廊下があるかどうかだけでなく、その場所になぜその空間があるのかを考えてみてください。

次回は「昔の家には、玄関がなかった?」を取り上げます。

家のカタチには、理由がある。OWL HOUSEは、「なぜ?」から暮らしを考えていきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければ関連記事「ホウ酸防蟻とは?一般的な防蟻処理との違いやメリットを徹底解説|石巻で注文住宅を建てるなら知っておきたいシロアリ対策」も併せてご覧いただけますと幸いです。

 

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