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コラム

日が暮れるのが早くなる秋に|石巻の暮らしに合う照明計画

ここ最近、夕方になるとあっという間に暗くなりますね。夏の間は仕事や学校から帰ってもまだ明るかったのに、今は家に着く頃にはすっかり夜、という日も増えてきました。石巻は車で動くことの多い地域です。買い物に行ったり、子どもを送り迎えしたりして、夕方以降に出かける方も多いのではないでしょうか。帰ったら夕飯をつくって、家族で食べて、あとはリビングでひと息つく。そんな夜の時間を、照明が静かに支えています。照明というと、部屋の中のものを思い浮かべがちですが、家の外の明かりも同じくらい大切です。駐車場から玄関までの通り道、玄関ポーチ、外階段。家の中に入るまでにも、明かりがあると安心できる場所はいくつもあります。この記事では、これから照明を使う時間が長くなる季節に合わせて、家づくりで考えておきたい照明計画を、室内から玄関まわりまでまとめてご紹介します。

日暮れが早くなる秋、石巻の暮らしに合った照明計画のイメージイラスト

明るい家が、居心地のいい家とは限らない

照明を考えるとき、まず「部屋全体をしっかり明るくしたい」と思う方が多いと思います。必要な明るさを確保することはもちろん大切ですが、家じゅうを均一に明るくすれば快適になるかというと、実はそうでもありません。たとえば、こんなことはないでしょうか。

  • 仕事から帰ってきたのに、部屋が明るすぎて気持ちが休まらない
  • 食後にソファでゆっくりしたいのに、天井の光がまぶしい
  • 子どもを寝かしつけたあと、全部消すと真っ暗で、自分の時間に使える明かりがない

これは、明るさが足りないというより、光の使い分けができていないことが原因かもしれません。リビングには、家族で過ごす時間もあれば、ひとりでぼんやりしたい時間もあります。ダイニングは食事中こそ明るいほうがいいけれど、食べ終わったら少し落ち着いた雰囲気にしたくなることもあります。寝室なら、寝る直前まで煌々と照らしておく必要はありません。だから照明は、「どのくらい明るくするか」より先に、「その場所でどんなふうに過ごすか」から考えてみるのがおすすめです。

基本は「全体を照らす光」と「必要な場所を照らす光」の組み合わせ

住宅の照明は、大きく「全体照明」と「部分照明」に分けて考えることができます。全体照明は、部屋全体を照らすもので、シーリングライトやダウンライトなどがこれにあたります。一方、部分照明は必要な場所だけを照らすもので、ペンダントライト、スポットライト、スタンドライト、ブラケットライト、フットライトなどがあります。たとえばダイニングなら、部屋全体の明るさを確保しつつ、テーブルの上はペンダントライトで照らす。リビングなら、全体照明に加えて、ソファのそばにスタンドライトを置く。ひとつの照明にすべてを任せるのではなく、いくつかの照明で役割を分担するイメージです。「うちはシーリングライトひとつで十分」と考えていた方も、この考え方を知ると、夜の過ごし方に合わせて光を選ぶという方法が見えてきます。

よく使われる照明の種類

それぞれ得意なことが違うので、代表的なものを整理してみます。

ダウンライト

ダウンライトの照明のイメージイラスト

天井に埋め込むタイプの照明です。器具が目立ちにくく、天井がすっきり見えるのが特徴です。ただし、光の向きや取り付け位置によって、明るさの感じ方は大きく変わります。数を増やすことだけを考えるのではなく、どこを照らすのかを考えて配置することが大切です。

シーリングライト

シーリングライトの照明のイメージイラスト

天井に取り付けて、部屋全体を照らす照明です。リビングや子ども部屋など、部屋全体にしっかりとした明るさがほしい場所で使いやすいタイプです。

ペンダントライト

ペンダントライトの照明のイメージイラスト

天井から吊り下げるタイプの照明です。ダイニングテーブルの上などによく使われ、照明そのものがインテリアのアクセントにもなります。

スポットライト

スポットライトの照明のイメージイラスト

特定の場所や物に光を当てる照明です。壁や絵、飾り棚などに光を当てることで、視線を集めるポイントをつくることができます。

ブラケットライト

ブラケットライトの照明のイメージイラスト

壁に取り付けるタイプの照明です。リビングの補助照明のほか、玄関や階段などにも使われます。

スタンドライト

スタンドライトの照明のイメージイラスト

床やテーブルなどに置いて使う照明です。必要な場所に光を足しやすく、家具の配置を変えたときにも対応しやすいのが特徴です。

フットライト

フットライトの照明のイメージイラスト

足元を照らす照明です。廊下や階段など、夜に通る場所に向いています。夜中にトイレへ行くときなども、部屋の照明をつけずに移動しやすくなります。

 

どれが一番いいというわけではありません。場所や暮らし方に合わせて、いくつかを組み合わせることがポイントです。

見落としがちな「光の色」

照明を選ぶとき、明るさやデザインは気にしても、光の色までは考えていなかったという方も多いかもしれません。でも、光の色が変わると、部屋の印象はかなり変わります。

光の色 見た目の印象 色温度の目安
電球色 オレンジがかった、あたたかい光 約2700~3000K
温白色 電球色と昼白色のあいだの、やわらかな光 約3500K
昼白色 自然な白さの、すっきりした光 約5000K
昼光色 青みがかった、すっきりした光 約6500K

※色温度は目安です。メーカーや製品によって異なります。

一般的に、色温度が低いほどあたたかみのある光、高いほど白く青みのある光になります。

くつろぐ場所は電球色

夕焼けやろうそくの火を思わせるような、落ち着いた雰囲気をつくりやすい色です。リビング、ダイニング、寝室など、ゆっくり過ごしたい場所に向いています。ダイニングでは料理をあたたかく見せやすいため、食事の時間にも取り入れやすい色です。

細かい作業をする場所は昼白色や昼光色

白くはっきりした光は、文字や手元が見やすくなります。キッチンの手元、洗面所、書斎、子どもの勉強スペースなどで使いやすい色です。ただし、くつろぐ部屋で使うと、少し張りつめた印象になることもあります。

家じゅうを同じ色にそろえなくてもいい

キッチンは白めの光、リビングはあたたかい光というように、部屋ごとに選んでも問題ありません。ただし、同じ部屋の中で光の色がバラバラだと、ちぐはぐな印象になることがあります。「部屋ごとに決めて、同じ部屋の中ではそろえる」と考えると、まとまりやすくなります。最近は、電球色から昼光色まで切り替えられる調色機能や、明るさを変えられる調光機能がついた照明もあります。夕食前までは明るめに、食後はあたたかい光に、というように時間帯に合わせて変えられるのは便利です。

光を「どこに当てるか」でも印象は変わる

照明は、器具そのものだけでなく、「どこに光を当てるか」でも空間の印象が変わります。壁に光を当てると、アクセントクロスやタイル、飾った絵などが引き立ちます。天井に当てれば、反射した光がやわらかく広がります。床を照らせば、足元が明るくなるだけでなく、空間に陰影が生まれます。こうして天井や壁に当てた光の反射を利用するのが、いわゆる間接照明です。直接照らす光は手元や作業には向いていますが、間接照明は光がやわらかくなり、落ち着いた雰囲気をつくりやすくなります。リビングなら、全体を照らす照明に壁を照らす照明をひとつ加えるだけでも、空間の表情は変わります。夜にゆっくり過ごす時間ほど、光と影のバランスが居心地を左右します。

部屋ごとに考えてみる

【リビング】

家族が集まる場所なので、照明の使い分けがしやすい部屋です。全体照明にスタンドライトや壁を照らす照明を加えれば、みんなで過ごすときと、ひとりで静かに過ごしたいときで光を変えられます。テレビを見る、子どもが宿題をする、ソファで本を読む。そうした場面を思い浮かべながら、どこに光がほしいかを考えてみてください。長く過ごす部屋なので、光の色は電球色か温白色を中心にすると、落ち着いた空間にまとめやすくなります。

【ダイニング】

近年ではテーブルの上を照らすペンダントライトが多く見られます。食卓を明るくするだけでなく、空間のアクセントにもなります。高さや大きさは、テーブルとのバランスを見ながら決めましょう。ダイニングテーブルで子どもが宿題をするご家庭なら、明るさを調整できるものも検討してみるとよいでしょう。

【キッチン】

手元が暗いと使いにくいだけでなく、包丁や火を使う場所なので、安全面でも配慮したいところです。手元灯などを取り入れて、自分の影で手元が暗くならないようにしましょう。部屋全体の明るさだけでなく、実際に作業する場所に光が届いているかを確認することがポイントです。

【寝室】

部屋全体を明るくしなくてもよい場合が多い部屋です。ベッドサイドにブラケットライトやスタンドライトを置いて、必要なところだけを照らす方法もあります。一日の最後を過ごす場所なので、光の向きや陰影まで意識すると、より落ち着いた空間になります。光の色は電球色が取り入れやすいでしょう。

【廊下・階段・トイレ】

夜中に通る場所は、明るくしすぎないこともポイントです。フットライトや、人が近づくと点灯するセンサー付きの照明があると、暗い中でも歩きやすくなります。夜中のトイレで急に明るい光がつくとまぶしく感じることもあるため、足元だけを照らすタイプの照明もおすすめです。

【家の外の明かりも忘れずに】

ここまで室内の話をしてきましたが、夜の暮らしを考えるなら、家の外の照明も欠かせません。秋から冬にかけては、帰宅する頃にはもう真っ暗、ということも珍しくないからです。車を停めて、荷物を持って玄関へ向かう。子どもと一緒に歩く。雨の日に傘を差しながら鍵を開ける。そう考えると、玄関まわりやアプローチの明かりが、毎日の暮らしをどれだけ支えているかが見えてきます。

【玄関ポーチ】

玄関ポーチの照明は、鍵を探すときや、荷物を持ったままドアを開けるときに、手元や足元を照らしてくれます。人が近づくと点灯するセンサー付きなら、必要なときだけ点灯するため、消し忘れを防ぎやすいのもメリットです。また、玄関まわりの明かりは家の外観の印象にも関わります。玄関ドアや外壁、植栽などを照らして、夜ならではの表情をつくることもできます。

【アプローチや階段】

駐車場から玄関までの通路や、敷地内の階段も、夜には明かりがほしい場所です。特に段差がある場所は、足元が見えにくいと不安を感じやすくなります。低い位置の足元灯や、必要なときだけ点灯するセンサーライトなどを取り入れておくと、夜の移動がしやすくなります。家に入ってからではなく、車を降りた瞬間から玄関までの動線を考えておくことがポイントです。

【防犯の面でも役に立つ】

家の周りが真っ暗だと、外から見えにくい場所ができてしまうことがあります。玄関まわり、勝手口、建物の側面など、夜に暗くなりやすい場所に照明を配置しておくと、周囲を確認しやすくなります。センサーライトも、取り入れやすい防犯対策のひとつです。もちろん、照明だけで防犯が完結するわけではありません。窓や玄関の対策、外構のつくり、周囲からの見通しなどもあわせて考える必要があります。ただ明るくしておけば安心というより、どこが暗くなりやすいのか、夜にどこを通るのかを考えて照明を配置することが大切です。

【照明計画は、家に帰るところから始まる】

車を停める。駐車場からアプローチを歩く。玄関ポーチの明かりの下で鍵を開ける。家に入って、室内の照明をつける。夕食の支度をして、家族で食卓を囲み、食後はリビングでゆっくりする。こうして並べてみると、夜の暮らしは家の外から始まっています。照明を考えるときは、「部屋にいくつ付けるか」よりも、「夜、家に帰ってきてからどう過ごすか」を思い浮かべてみてください。石巻でも、秋から冬にかけては夜が長くなります。家の外から玄関まで、そして玄関から室内まで。帰宅の流れをひと続きの動線として照明でつなげて考えると、暮らしに合った計画が見えてきます。

【照明のことは、早めに考えておく】

照明は家づくりの終盤に選ぶもの、というイメージがあるかもしれません。器具のデザインや明るさを最終的に決めるのは、たしかに後のほうです。でも、考え始めるのはもっと早い段階がおすすめです。ソファはどこに置くのか。ダイニングテーブルの位置はどこか。テレビはどこで見るのか。壁に絵や飾りを置くのか。駐車場から玄関までどう歩くのか。玄関まわりにどんな明かりがほしいのか。夜はどこで、何をして過ごすのか。こうしたことを考えていくと、光がほしい場所も自然と見えてきます。家づくりでは、完成してから「ここにコンセントがあればスタンドライトが置けたのに」「壁に照明をつけておけばよかった」と気づくケースもあります。外も同じです。「玄関ポーチには付けたけれど、駐車場から玄関までが暗い」「ここにもセンサーライトがほしかった」と感じることもあります。配線やスイッチの位置、外部コンセントなどは、完成後に変更するのが難しい部分です。照明はインテリアの一部であり、毎日の暮らしを支える設備でもあります。だからこそ、家づくりの早い段階から、夜の暮らしを思い描いておくことが大切です。

まとめ

日が暮れるのが早くなり、家の中でも外でも、明かりを使う時間が長くなってきました。この機会に、ご自宅の明かりについて少し考えてみてはいかがでしょうか。たくさん付ければいいわけでも、とにかく明るくすればいいわけでもありません。その場所で、誰が、どんな時間を過ごすのか。そこから明るさや光の色、光の当て方、そして家の外の明かりまで考えていくと、ただ明るいだけではない、暮らしに寄り添う家になります。これから家づくりを考える方は、昼間の家だけでなく、夜の家でどう過ごしたいかもぜひ想像してみてください。秋の夜、車を降りて玄関へ向かうとき。ドアを開けて家に入ったとき。家族と食卓を囲み、リビングでくつろぐとき。それぞれの場所にちょうどいい明かりがあるだけで、毎日の心地よさは少しずつ変わっていきます。最後までお読みいただきありがとうございました。宜しければ関連記事「夜整える家|石巻の暮らしと、睡眠を支える照明計画」も併せてご覧いただけますと幸いです。

 
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